明治維新胎動の地で“公園維新”だ! 山口ゆめ花博の挑戦、都市公園の既成概念塗り替える - 産経ニュース

明治維新胎動の地で“公園維新”だ! 山口ゆめ花博の挑戦、都市公園の既成概念塗り替える

「山口ゆめ花博」の入り口となる「ウェルカムゾーン」
「山口ゆめ花博」で色とりどりの花が広がる「花の谷ゾーン」
「山口ゆめ花博」で「山の外遊びゾーン」にある「日本一長い竹のコースター」
「山口ゆめ花博」の「海の外遊びゾーン」にある「日本一高い木のブランコ」。高さは30メートルある
 全国持ち回りで毎年開催され、今年は山口県で「山口ゆめ花博」として9月14日から始まる「全国都市緑化フェア」(11月4日まで)。今回はひと味違ったものにすると宣言するのが、同博プロデューサーを務める沢田裕二さんだ。明治維新から150年。明治維新胎動の地で“公園維新”を起こそうというのだ。
形骸化
 「もともと、豊かな生活を目指して、各地の都市公園のこけら落とし行事として、当時の建設省が昭和58年に始めたのが、全国都市緑化フェアです」
 沢田さんが説明する。フェアには35年の歴史があるが、国民の間に浸透しているとは言い難い。バブル経済の崩壊とともに規模も縮小し、「すでに都市公園も各地に整備された後で、新しい公園ができるわけでもなく、著しく形骸化している」と指摘する。
 今世紀に入ると、「既存の都市公園に花を植えて、会期後には撤去する。来場者の7割はシニア女性」という状況となり、「毎年同じことを各地で開催しているだけの状況が近年は続き、時代に先駆けるような新鮮な展開に乏しくなっている」のが実情という。
 「シニア女性が悪いわけではないが、それ以外の層の誘客努力をしていない。社会を変革する仕組みづくりこそが、こうしたイベントの使命であるはずなのに」
活用
 国土交通省も危機感を覚え、平成25年にフェアの改革方針を示し、それに応じたのが、今回の山口ゆめ花博だった。
 明治維新150年の記念事業を計画し、その中核イベントに都市緑化フェアを据えていた山口県が、「形骸化した都市緑化フェアをぶっ壊して、新しいものを作ろう」と提案した沢田さんに乗った。維新胎動の地ならではの進取の精神が、沢田さんの案に呼応したというところか。
 沢田さんによれば都市公園は、都市計画課が作るので「どう使うか」より、「どこに木を植えるか」「どこに何を置くか」といった視点で作られる。使用上の規制も多いし、管理にも費用がかかっている。
 だが、都市公園法が昨年改正され、園内にレストランなどの開設が可能になった。
 こうした機会を捉えた沢田さん。提案の骨格は、「都市公園の利活用」だ。「これからの日本人が、どういう公園の使い方を必要としているか」を念頭に今回の花博全体を設計した。
アイデア
 沢田さんは、そうした自らの考えを、今回のフェアの中で具体化してみせた。
 例えば、木製、竹製の遊具群だ。高さ30メートルの「日本一高い木のブランコ」、総延長150メートル、75人が一度にこげる「日本一長い木のブランコ」、山の傾斜を利用して頂上から海に向かって滑り降りる「日本一長い竹のコースター」…など。
 予算がなく、防腐処理をしておらず、「3年ぐらいしか持たない」と沢田さんは苦笑するが、そのことを逆手にとってワークショップを開くつもりだ。
 「お父さんたちを巻き込んで、一緒に遊具を作り、一緒に管理をしたくなってもらう。これが年に1度遊具を作り直すワークショップの立ち上げにつながれば、行政が業者に発注することなく遊具を作ることができる」というアイデアだ。
 入場有料としたのも特徴だ。近年のフェアは無料が多い。「有料開催にすると相応のリスクを背負う。リスクがあるから一生懸命頑張る」というのが沢田さん。事前の売り上げは好調だという。
 明治維新150年。その胎動の地で行われる“公園維新”。
 沢田さんは、「50年後ぐらいに、そういえば山口で始まったフェアが(都市公園のあり方の)始まりでしたね、といわれればいいですね」と話している。(文化部 兼松康)
 都市公園 都市公園法に基づき設置される公園。都市環境の改善、防災性の向上に寄与することが目的。城跡などの史跡を活用したり、運動公園を配するものもある
 沢田裕二(さわだ・ゆうじ) 昭和32年、東京生まれ。明治大学建築学科卒。博覧会デザイナー、プロデューサー。平成6年、世界リゾート博会場計画。同年、山陰・夢みなと博覧会会場演出チーフディレクター。13年、山口きらら博プロデューサー。山口きらら博山口銀行パビリオンでジャパンエキスポ大賞受賞。国営ひたち海浜公園サインデザイン。
 山口ゆめ花博入場料 大人1200円(前売り900円)、高校生800円(同600円)、小・中学生600円(同500円)、小学生未満無料。全期間利用できるパスポート券が3000円(同2400円)。