スコットランドとの新たな架け橋 日本設計のミュージアムがオープン、観光キャンペーンの柱に

 
スコットランド東部海岸沿いのダンディーの新名所「ビクトリア&アルバート・デザイン・ミュージアム」(C)Ross Fraser McLean

 日本の設計で築かれたミュージアムがスコットランドの新しい名所として登場することになった。スコットランド東部の海岸線の街ダンディーで9月15日にオープンする「ビクトリア・アンド・アルバート(V&A)デザインミュージアム」。設計は隈研吾氏。スコットランド伝統のデザイン文化や技術を生かした、新たな地域活性の象徴としても期待されている。

 ダンディーは、ゴルフの全英オープンで知られる聖地セントアンドルーズと入り江をはさんで北側の対岸にあり、エディンバラから北に鉄道や車で80分ほどのところにある。

 デザインミュージアムがイギリスでロンドン以外で造られたのは初めて。スコットランドはタータンチェックで知られるように、衣服のデザインで長い伝統があり、その技術を学び、さらに新しい現代のデザインと融合した創作を志している。ミュージアムはそうしたスコットランドの世界に向けて才能と存在感を示す場といえ、「伝統を学び、新しいものを世界に送りだすことで世界を融合できる拠点も目指している。

 7月に来日したスコットランド観光局(VisitScotland)のクリスティーナ・ブランズ氏は駐日英国大使館での説明会で、世界有数の観光ガイドですでにダンディーのデザインミュージアム「最もホットな訪問先」に挙げられていると紹介。米紙ウォールストリート・ジャーナルも推奨していると語った。

 「景観、食べ物、フェスティバルにゴルフだけではない」。スコットランド政府は海外に向けて大々的に宣伝しようと、大型キャンペーン「スコットランド・イズ・ナウ」(www.scotlandisnow.com)を立ち上げた。

 当局のほかに大学も結集し、「スコットランドでの就職、進学(留学)、観光や投資を目的に世界各地からスコットランドを訪れる人々をさらに増やしたい」を基本的なメッセージとして、スコットランドの長所をかつてない規模で余すところなく紹介。共有する目標の達成に向けて他国との緊密な協力も考えている。

 ダンディーのような文化や伝統の体験に合わせた観光の促進はキャンペーンの柱の一つ。文化イベントの責任者、ローナ・デュガイド氏によると、35歳以上の観光客が増え、より洗練された、文化的な体験を期待する人が多くなっている。

 エディンバラでは年間を通じて「エディンバラ・フェスティバル」が開かれている。演劇だけでなく、文学や科学と幅広い分野で世界の最先端の動きを知ることができる。一方のグラスゴーは音楽の街といわれるとともに歴史的なデザイナーが輩出した街でもある。観光客の9悪以上がスコットランドの文化的体験や創造、科学、芸術に満足しているという。

 一方、フィオナ・ヒスロップ文化・観光・対外関係相は説明会で、日本とスコットランドが互いを知ることで繁栄してきた偉人の例として、長崎の「グラバー園」で知られる「スコットランドの侍」トーマス・ブレーク・グラバーと、ウイスキーで有名な竹鶴政孝のことを紹介した。

 「観光はいまや、旅行であろうと仕事であろうと、地球規模で拡大しており、互いの国を理解する大きな機会となっている。『スコットランド・イズ・ナウ』は世界的なキャンペーンで、スコットランドを観光から生活、仕事、投資で先進地域にしていきたい」

 ヒスロップ氏は、ダンディーでのデザインミュージアムは日本とスコットランドの観光と文化の結びつきを象徴するものと指摘。スコットランド伝統のデザインを紹介する場が日本のデザインによって構築されたことの意義を強調した。