婚活イベント、川柳募集、人気タレントCM…生保各社が“保険離れ”の若者開拓へ あの手この手

経済インサイド
第一生命保険は若者に人気のあるタレントのDAIGOさん(中央)、今田美桜さん(左)をテレビCMに起用し、若年層にアピールする

 若者の保険離れは生命保険業界にとって喫緊の課題だ。生命保険文化センターが3年ごとに発表する平成28年度版の「生活保障に関する調査」では、20代の生保加入率は55.7%。昭和62年には約65%で、減少傾向にある。生保各社は無保険の4割に狙いを定め、何とか若年層に社名を刷り込ませようと、アプローチを強めている。

 第一生命保険は昨年から20~30代の男女を対象に婚活イベントを開催。既に5回開催しおよそ100組のカップルが成立した。本業と関係がないようにもみえるが、同社によると、「若者がいつか家庭を持ち保険を意識した際、第一生命のことを思い出してほしい」との遠大な思惑があるのだという。

 今春に放映した新商品のテレビCMには中高生に人気の高い女優、今田美桜(みお)さん(21)を起用。若者向けに動画サイトで公開したメイキングムービーは既に再生160万回を超えた。

《第一生命のCMサイト》

http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/public/tv_cm/

 今秋には20代限定の「サラリーマン川柳」の募集も始める予定だ。

 住友生命保険は大手生保では最も早い平成18年から若者向けにシンプルな商品を販売する乗り合い代理店に参入した。昨年7月には関西の保険代理店を買収し、全国90店舗を運営。代理店に保険を卸す商品供給子会社も設立し、若年層への浸透を図っている。

 日本生命保険も人気少年漫画とコラボレーション。アンケートに答えてくれた人に抽選でプレゼントするといったキャンペーンを定期的に行っている。

 明治安田生命保険は、「かんたん保険シリーズライト」を若年層開拓のための商品と位置づけている。積み立て型は、死亡時に保険金が支払われる上、途中解約した際の払戻金は常に契約者が支払った分以上を維持しており、その分、同社の収益性は高くない。

 ただ、この商品は保険ショップやインターネットでは契約できない。必ず最後は同社の営業職員を通す必要がある。「身銭を切っても若者とつながりを持ちたい」という強い意志が反映されたといえる。

 業界全体でも若年層へのアピールは進めている。生命保険協会は、若年層が生保に加入しない理由の一つとして知識不足を挙げ、学校に保険について教える講師を派遣するなどの取り組みを展開している。「若年層の保険加入率は低下している」。同協会の稲垣精二会長(第一生命社長)は7月の就任記者会見でこう指摘し、若者の保険離れへの危機感をにじませた。

 平成33年度以降、学習指導要領の改定で中学・高校の授業でも保険について学ぶ時間が設けられる。生保加入率が低いことは潜在的な需要がまだまだ埋まっていることの裏返しでもある。生命保険文化センターの調査でも、30代以上の加入率はいまだ8割超と高水準を維持している。10年後の顧客獲得に向け、各社の奮闘は続きそうだ。(経済本部 林修太郎)