日本とのつながりも見える 韓国鉄道100年の歴史 - 産経ニュース

日本とのつながりも見える 韓国鉄道100年の歴史

 【酒呑み鉄子の世界鉄道旅 KTXに乗る韓国旅(5)】 せっかく韓国を訪れたので、ソウルから少し足をのばして鉄道博物館に行ってみることにした。ソウル駅からは地下鉄1号線に乗って50分ちょっと。車窓には近郊都市らしい変哲のない平和な風景が広がり、そろそろお尻が痛くなったころ、義王(ウィワン)駅に到着した。(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文)
義王(ウィワン)駅へは水原(スウォン)・天安(チョナン)・新昌(シンチャン)方面行きの地下鉄1号線に乗車する
 ソウル市の南に位置する義王市の名を取って改名した駅で、付近には鉄道博物館や鉄道大学、鉄道研修センターなどがあり、韓国では「鉄道の街」として知られている。そのなかに韓国鉄道が誇る観光施設「KORAIL鉄道博物館(チョルドパンムルグァン)」がある。韓国鉄道の100年を超える歴史がぎっしり詰まっているのだ。
「駅ビルも見て」
 …と、その前に。改札口で鉄道博物館行きのバス乗り場を尋ねると、駅員が「鉄道好きなら駅ビルも見て」という。義王市は先ごろ、駅に隣接するビル内に鉄道産業展示室をオープンした。韓国の簡単な鉄道史のほか、高速鉄道市場への参入を目的に開発中の「ヘム(HEMU-430x)」の技術解説もある。
「環境にやさしいエコな乗り物としての鉄道を発信する中心地」を目指してオープンした義王鉄道産業展示室。入場無料
 ここでひと息つきつつ鉄道気分を盛り上げて、いよいよ鉄道博物館へ。徒歩なら10分ちょっとの距離だが、路線バスも出ている。入場料は2000ウォン(約200円)。展示スペースは屋内と屋外があり、屋外には20両ほどのさまざまな車両が静態保存されている。
大統領専用特別車両の気動車はディーゼル電気式車両
 2001年まで運行していた大統領専用の特別車両の気動車や、登録文化財に指定されていて、李承晩(イ・スンマン)初代大統領から朴正煕(パク・チョンヒ)第5~9代大統領まで使ったという展望バルコニーつきの大統領専用客車など、歴史的に価値のある車両も展示されている。
大統領専用客車。1955年に大統領専用車に改装された
 重要な車体には、韓国語と英語で案内が掲示されている。そのなかに「JAPAN」の文字を見つけた。日本が製造したものだ。歴史に混じって、現代ロテム社の韓国型動力分散式高速列車「EMU-250」といった近未来の技術に触れることもできる。
1942年に製造されたパシ蒸気機関車23号は日本製
 蒸気機関車の前で記念撮影をしていた親子連れ、売店と休憩所を兼ねた車内でのんびりお茶を飲んでいたシニアの夫婦など数組の観光客はいたものの、敷地内はいたって静か。写真も自由に撮影できる。
 炎天下に汗をかきながら急ぎ足で回っていたら、券売窓口にいたお姉さんが「ほんとうは中学生以下の子どもにだけあげるのだけど」と、鉄道シールを1枚くれた。
高速列車「EMU-250」は運転席に入ることできる
 『KTXに乗る韓国旅(6)=最終回』は9月16日掲載です。
酒呑み鉄子/江藤詩文(えとう・しふみ)うまい酒と肴と料理を求めて世界を呑み歩くフード&トラベルジャーナリスト。車窓を眺めながらの飲み食いをこよなく愛し、寂しさを癒やす酒だけがひとり旅のお供。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅」全3巻。