シェアハウス問題に見るプロ選手の危うさ

スポーツ異聞
静岡県沼津市のスルガ銀行本店

 シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資をめぐり、地方銀行のスルガ銀行(本店・静岡県沼津市)が不適切な融資をしていた問題がついにスポーツ界にも飛び火してきた。

 「かぼちゃの馬車」の物件を購入した人の中に、10人のJリーガーや元Jリーガーがいるというのだ。日本代表に選ばれた選手もいるという。

 1棟当たり、1億円前後する高額なシェアハウス「かぼちゃの馬車」を購入させ、同時に一括借り上げのサブリース契約を締結する。しかし、サブリース契約を締結していた会社が今年1月、支払いの停止を一方的に通告。そのため、支払いが困難になる所有者が続出した。

 購入者の多くがスルガ銀から高額な借り入れをしていたとされ、スルガ銀側が融資をスムーズに実行するため、審査書類を改竄(かいざん)したり、売買契約書を偽造したケースも発覚。スルガ銀の株価も暴落、社会問題化した。会長ら幹部の退任にも発展している。

 今回の問題で、一般サラリーマンも返済に窮し、自己破産に追い込まれた人がいる。だが、よりクローズアップされているのは、“プロ選手の立場の弱さ”だ。一般サラリーマンや大手企業に所属する社員選手は、給与がさほど高くはないとしても、60歳ないしは65歳までの定年まで勤め上げ、退職金も支払われる可能性がある。

 一方でJリーガーやプロ選手の立場は危うい。欧州の主要リーグで活躍する億単位の年俸など、プロ選手は派手な金額が独り歩きするが、そんな額をもらえるのは一握りのトップ選手。Jリーグ発足当初は平均年俸が2000万円を超えたこともあったが、今では1部(J1)の選手でさえも1000万円を超えれば良い方で、400万~600万円前後の選手も少なくない。

 しかも、プロ野球と比べ、選手寿命も短い。30歳になると、肩たたきが始まるケースもある。監督やコーチ、テレビの解説者などでサッカー界に残れるケースもごくわずかだ。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長は今年2月、ワールドカップ(W杯)に出場した日本代表選手への年金制度を創設する考えを明らかにした。放送権収入の3~5%を積み立てるという。しかし、W杯に出場したクラスの選手なら年俸も高額なはずで、引退後も指導者などの立場で残れる可能性がある。年金制度が本当に必要なのは、代表より下のクラスの選手のはずだが、そのクラスへの年金制度は今のところない。

 となれば、引退後の「第二の人生」が不安になるのは必然の流れ。セカンドキャリアとして、新たな職を探すよりも、不動産に投資して、手っ取り早く稼ごうとする選手がいてもおかしくはない。10人ものJリーガーや元Jリーガーが危ない不動産投資に手を出した背景もそのあたりにあるのだろう。

 サッカーどころ静岡県に本店を置くスルガ銀はサッカーとも、つながりが深い。JリーグYBCルヴァン・カップ覇者と南米カップ王者で争う大会の冠スポンサーにもなっている。Jリーガーがスルガ銀を信頼しきってもおかしくない状況だった。

 昔からプロ野球選手なども不動産などに投資してきた。プロ野球選手はJリーグの選手と比べ、年俸が高く、入団時に高額な契約金ももらえる。

 Jリーグにこそ、本格的な年金制度が必要だ。