【ニュースの深層】水難事故が相次ぐヘッドランドの“魔性” 茨城、1週間で4人死亡「絶対泳ぐな」 - 産経ニュース

【ニュースの深層】水難事故が相次ぐヘッドランドの“魔性” 茨城、1週間で4人死亡「絶対泳ぐな」

事故のあったヘッドランドの内かさ。奥には複数の人の姿が見える=8月27日午後、鉾田市台濁沢(永井大輔撮影)
立ち入り禁止の看板が立つヘッドランド付近。奥には駐車した車が見える=8月27日午後、鉾田市台濁沢(永井大輔撮影)
ヘッドランド付近には駐車した2台の車があった=8月27日午後、鉾田市台濁沢(永井大輔撮影)
事故のあったヘッドランドの内かさ。奥には複数の人の姿が見える=8月27日午後、鉾田市台濁沢(永井大輔撮影)
ヘッドランド先頭付近には釣り人の姿が見える=8月27日午後、鉾田市台濁沢(永井大輔撮影)
 海水浴シーズンの8月。茨城県の約70キロの海岸線に点在する人工岬「ヘッドランド」付近で水難事故が相次ぎ、8月14~20日のわずか1週間で4人が命を落とした。ヘッドランド付近の海流は一見穏やかに見えるが、陸から沖に流れる「離岸流」が発生しており、その流れの早さ、強さには五輪選手ですら逆らえないという。穏やかに見えつつも、命を奪うその特徴から茨城海上保安部はヘッドランドには「魔性」があると注意喚起しており、県警はヘッドランドへの立ち入りや、付近での海水浴をやめるよう呼びかけている。
 ヘッドランドとはT字型をした人工岬だ。T字の内かさ部分にできる砂浜は、プライベートビーチのようで、子供にとって遊びやすそうに見える。だが、その近くでは離岸流が発生しており、その流れに乗ってしまえば、すぐに沖まで流されてしまう。
 茨城県鉾田市台濁沢(だいにごりさわ)のヘッドランドでは19日、内かさで遊んでいた家族の次女(8)が流され、助けようとした父親(55)=群馬県伊勢崎市=が溺死する事故が起きた。
 救助に関わったという近くの自営業の男性(54)は「よくここの海を訪れるが、(ヘッドランドの特性を)知っている人は危ない場所には絶対近寄らない」と話す。
 このヘッドランド付近をよく訪れる男性(65)は「土曜、日曜になると、海岸には車があふれ、人が多くなるので、ヘッドランドを知らない人は安心して遊んでしまうのではないか。『立ち入り禁止』の看板より奥に車を止める人が多いので、看板は砂浜やヘッドランドの近くに立てないとよく見えず、意味がない」と語っていた。
 茨城県鹿嶋市では、18日にヘッドランド先端付近を歩いていた埼玉県草加市の男性会社員(20)が波にさらわれ、2日後に遺体で見つかった。19日には千葉県成田市の塗装工の男性(18)がヘッドランド付近で流され、翌日遺体で発見された。
 茨城県河川課によると、ヘッドランドは波による海岸浸食を食い止めるために昭和60年ごろから同県が全国に先駆けて設置を開始し、現在は34基が完成している。浸食の進行を抑え、砂浜の維持などの効果を上げている。ヘッドランドを設置していなかった場合、東京ドーム約7杯分の砂が流出し、鹿嶋灘の約半分の砂浜が消失していたと予測される。
 県河川課の担当者は「ヘッドランドは護岸の役割を果たしている。(事故については)茨城県警など関係機関と協力し、立ち入り禁止の周知をさらに徹底していきたい」と話している。
 県警地域課によると、夏以外にもヘッドランドへの立ち入りが目立つという。ヘッドランドは先頭が沖に近く、釣りや貝採りの穴場となっており、年間を通して水難事故に遭う人がいるのだという。
 同課は「海水浴だけでなく釣りや貝採りなど、1年を通して立ち入り防止の警戒に努めている」といい、「海に行く際は監視、救助態勢が整った海水浴場を利用し、ヘッドランド付近では絶対に泳がないでほしい」と注意を呼びかけている。(水戸支局 永井大輔)