【スポーツ異聞】プロ野球で始まった「リクエスト」制度 対象プレーが曖昧で混乱も - 産経ニュース

【スポーツ異聞】プロ野球で始まった「リクエスト」制度 対象プレーが曖昧で混乱も

8月25日の巨人戦で「リクエスト」を要求する阪神・金本知憲監督=東京ドーム(荒木孝雄撮影)
8月15日のヤクルト戦で、捕球に関する際どい判定の直後、降板する巨人の吉川光=神宮球場(荒木孝雄撮影)
ヤクルト・青木の投球が死球と判定され、危険球退場でベンチに戻る阪神・岩田=8月19日、神宮球場(山田喜貴撮影)
 プロ野球では今季から試合中の微妙な判定に対し、再検証を要求することができる「リクエスト」制度が始まった。両チームの監督は九回終了までに最大2度(判定が覆ればカウントせず)要求することができる。
 これにより、ぱっと見ただけでは判断がつきづらいタッチプレーなどは、ほとんどリクエストされることになった。日本野球機構(NPB)によると、前半戦終了時点までにセ・リーグで125件、パ・リーグで131件。2試合に1回程度のペースで行われている計算になる。ちなみに判定が覆ったのは約35%だった。
 「判定がより正確になった」と好意的な意見がある半面、「審判の威厳がなくなる」「試合が間延びしてしまう」など批判的な指摘もある。ただ、こうした賛否の声とは別次元にファンを混乱させていることがある。それはリクエストの対象になるプレーとならないプレーがあることだ。
 例えば、8月15日に神宮球場で行われたヤクルト-巨人戦。ヤクルトの攻撃で、六回1死一、三塁の場面で微妙な判定があった。
 ヤクルト・川端のライナー性の打球がマウンドの巨人・吉川光の方へ飛んだ。ダイレクト捕球かワンバウンドかという地面すれすれで吉川光が捕球。審判がダイレクト捕球のコールをしなかったため、吉川光は1-6-3の併殺を狙ったが一塁はセーフ。併殺崩れの間に三走はリタッチすることなくホームを踏んだ。
 その後、巨人サイドはノーバウンド捕球ではないかと抗議。高橋監督もベンチを出て審判に確認したが、判定は覆らず、リプレー検証も行われなかった。そのままヤクルトの得点が認められ試合続行。巨人ファンからは「なんでリクエストしないんだ」という声が上がっていた。
 もっとも、高橋監督はリクエストをしなかったのではなく、できなかったのだ。ルールで「審判員(塁審)より前方の打球」はリクエスト対象外となっているためだ。しかし、一般にあまり知られておらず、ファンが戸惑うのも無理はないだろう。
 このほか、リクエストの対象外となっているプレーはストライク・ボールといった投球判定、ハーフスイング、ボーク(反則投球)、守備妨害など。見た目だけでは白黒をつけることができない審判の“感覚”が伴う判定などが対象外となっている。
 リクエストをめぐり、対象のプレーなのに認められないこともあった。8月19日に神宮球場で行われたヤクルト-阪神戦で、阪神・岩田の投球がヤクルト・青木の頭部付近へ。青木は避けようとして地面に倒れ込んだが、ヘルメットをかすめたかどうか微妙なシーンだった。審判は死球を宣告し、岩田は危険球で退場になった。
 阪神側は当たっていないとして抗議。しかし、リクエストは認められず、リプレー検証はされなかった。死球に関してはリクエストの対象になっており、阪神はこの審判の判断を不服として、NPBに意見書を提出した。
 今季は導入1年目。運用に手探り感があるのは否めない。対象の範囲が「わかりにくい」という声も大きい。シーズン終了後には、ルールの周知徹底や対象範囲の拡大など、新たな議論が必要だろう。(運動部 浜田慎太郎)