食い倒れ道中で思いめぐらす 「韓国人と関西人のカップルが長続きする」ワケ - 産経ニュース

食い倒れ道中で思いめぐらす 「韓国人と関西人のカップルが長続きする」ワケ

 【酒呑み鉄子の世界鉄道旅 KTXに乗る韓国旅(4)】 KTX541号の終着駅は「光州松汀(クァンジュソンジョン)」。韓国で「食の都」とか「韓国の台所」といわれる全羅南道地方の主要駅のひとつだ。光州松汀駅からは、かつて日本人が多く住んでいたという黄海に向かって開けた港町の観光地・木浦(モッポ)へは国鉄でアクセスできるし、駅前には地下鉄もある。全羅南道地方のいくつかの街を訪れ、名物料理を食べ歩いた。(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文)
全羅南道の南部にある有名な島、莞島(ワンド)にある「莞島タワー」の展望台からの眺望。モノレールで上がることができる
 全羅南道はリアス式海岸。世界で活躍するソウルのスターシェフたちもいま伝統的食文化を見直し、この海産物の宝庫に注目している。アワビ、ハモ、カキといった高級食材から海草まで、ここでとれる海の恵みは枚挙にいとまがない。一方、きれいな天然水の流れる内陸部は、土壌の豊かな平地が広がり、韓国きっての米どころともいわれている。
 この地方には、そうした海や山からとれる3つの食材の持ち味を重ね合わせた「三合(サムハプ)」という伝統的な宮廷料理がある。木浦では、豚肉+キムチ+発酵したエイという組み合わせが有名。強烈な刺激臭が鼻をつき、最初は食べ慣れないが、発酵料理特有のうま味があり、何度か挑戦するとクセになる。
ほどよくサシの入った牛肉の脂をシイタケに吸わせて、熱々の焼き立てをサンチュなどの葉っぱでくるみ、3つの食材のうま味をひと口で一度に味わう
 長興(チャンフン)では、韓牛(ハヌ)+タイラギ貝+しいたけの鉄板焼き。こちらは、うま味が凝縮した食材のてんこ盛り。ひと口めからストレートに脳が喜ぶ。ほかにも、牛カルビとテナガダコのスープ、ハモのしゃぶしゃぶとやわらかい新玉ねぎなど、海と山の幸のペアリングを楽しんだ。
霊岩(ヨンアム)郡犢川(トクチョン)で食べた牛カルビとテナガダコのスープ「カルラクタン」。丸ごとのタコをハサミでチョキチョキ切って食べる
韓国人は関西にシンパシー感じる?
 ところで「全羅南道は国内旅行先として有名で、満腹で倒れるまで食べ歩く」というソウルの友人に「日本でも、大阪は“食い倒れ”の街だ」と言ってみたら、おもしろい話が聞けた。韓国人と関西人には共通点が多いため、韓国人は関西にシンパシーを感じていて、関西は日本旅行のなかでも特に人気があるそうだ。彼女いわく、韓国人も関西人も、高級料理も好きだけれどB級グルメが大好き。お笑いなどおもしろいことに熱心。だから韓国人と関西人のカップルは長続きするという。
私の旅にはお酒も欠かせない。海南(ヘナム)ではもち米、麹、でつくるフルーティな甘口の伝統酒「真醸酒(チニャンジュ)」が醸造されている
 ま、最後のは、日本人ボーイフレンド絶賛募集中の彼女のたわ言だとしても、韓国では関西ファンが多いというのは、何度か聞いた。
 そうか、韓国は笑いに厳しいのか…。そういえば初代「全羅南道名誉広報大使」に選ばれた薬膳料理研究家・新開ミヤ子氏も、関西出身でトークにキレがある。それなのに私ってば、三代さかのぼっても東の人間で、話にオチがないのが弱み。それが引け目になって、関西人と話すときはちょっぴり緊張する。
 もしかして、今まで気づかなかっただけで、韓国人にも「オチがない」と思われていたのかもしれません。あ~あ。
地下鉄の光州松汀駅。こちらはKTXと違って信用乗車方式ではなく、自動改札機が設置されている
 『KTXに乗る韓国旅(5)』は9月9日掲載です。
酒呑み鉄子/江藤詩文(えとう・しふみ)うまい酒と肴と料理を求めて世界を呑み歩くフード&トラベルジャーナリスト。車窓を眺めながらの飲み食いをこよなく愛し、寂しさを癒やす酒だけがひとり旅のお供。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅」全3巻。