救世主は「モノノフ」か「ユーチューバー」か 支持率&関心ほとんどゼロの国民民主党代表選

野党ウオッチ
国民民主党代表選へ立候補し、共同記者会見に臨む玉木雄一郎共同代表(左)と津村啓介元内閣府政務官=8月22日、東京・永田町の党本部(春名中撮影)

 党勢低迷にあえぐ国民民主党の初の代表選が9月4日に投開票される。津村啓介元内閣府政務官(46)と玉木雄一郎共同代表(49)による一騎打ちの構図で、党勢拡大策や野党共闘のあり方を争点に論戦を展開している真っ最中だ。ただ、自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)と沖縄県知事選(13日告示、30日投開票)の陰で国民の関心は一向に高まらない。地味すぎる代表選の行方はいかに。

堅いエリート

 代表選は、総数284の「ポイント」の獲得数で勝敗を決める。国会議員に1人2ポイント、国政選挙公認内定者に1人1ポイントを配分し、地方議員と党員・サポーターに関しては得票に応じてドント方式でポイントを振り分ける。選挙期間中は全国各地で候補者討論会が行われる。

 津村、玉木両候補は一体どんな人物なのか。知らない人も多いと思うので紹介したい。

 津村氏は岡山県津山市生まれ。麻布高、東大法学部を卒業して日銀に入行。英オックスフォード大で経営学修士課程を修了し、民主党の候補者公募で公認候補第1号に選ばれ、平成15年の衆院選で初当選した。

 経歴だけ見ると堅いエリートのイメージがあるが、津村氏はアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の大ファンという一面もある。

 特定メンバーを応援するのではなく、全員を推す「箱推し」という筋金入りの「モノノフ」(ももクロファン)で、自身のツイッターでは「前原誠司さんと枝野幸男さんと一緒に『ココ☆ナツ』を2回踊った」と、ももいろクローバーZの歌で盛り上がったことを投稿している。

 代表選のキャッチコピーは「現状打破、選手交代」。現執行部の党運営を「対決もしていなければ、解決もできていない。党勢低迷の責任を負うべきだ」と批判し、野党共闘路線に軸足を移すべきだと訴える。来年夏の参院選で野党勢力が改選過半数を獲得できなければ「即辞任する」とも宣言した。

 政策面で目を引くのは「安楽死・尊厳死の合法化」だ。「個人のライフスタイルをより多様で豊かにするため、タブーを捨てて挑戦すべきテーマだ」とし、LGBT(性的少数者)関連の法整備も訴えている。立候補に必要な国会議員10人の推薦人集めに苦労した津村氏だが、旧民主党時代に青年局長を務めた際に築いた人脈で地方票を積み増しできるかがカギになりそうだ。

優位な選挙戦

 対する玉木氏は、大塚耕平共同代表(58)ら現執行部を中心に支援を受けて選挙戦を優位に進める。

 玉木氏は香川県さぬき市出身で、兼業農家の長男。東大法学部を卒業し、財務官僚を経て平成21年の衆院選で初当選し、旧希望の党代表などを歴任した。趣味はカラオケとマラソン。座右の銘は「一所懸命」だ。

 最近では「永田町のユーチューバーになる」と宣言し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に公式チャンネルを開設。街頭突撃インタビュー映像を配信するなど、党の知名度アップに率先して汗をかいている。周囲から失笑を買うこともあるが、公党の代表自らが街角で通行人にマイクを向ける度胸とフットワークの軽さは強みでもある。

 目玉政策は、第3子を出産した家庭に1千万円を給付する「コドモノミクス」。年間予算は1兆6千億円程度を見積もり、財源は政府開発援助(ODA)など外国に使われているお金を削減するなどして確保する考えだ。財源がなければ「こども国債」の発行で賄うことを提案している。

 新代表は来年夏の参院選の「党の顔」になるだけに、国民民主党にとっては重要な代表選になる。喫緊の課題は、じり貧の党支持率をいかに上げるかだ。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査によれば、国民民主党が結党した5月の支持率は1%だった。しかし、その後は1%を割り込む状況が続き、一向に上昇の兆しがみえない。

 ある党ベテラン職員は参院選に向け「党の支持率を上げなきゃ始まらない。年末までに4~5%はほしい」と危機感を募らせる。支持率が低飛行を続ければ、党内から「解党論」が浮上したり、離党者が続出したりして党の空中分解につながりかねないからだ。

 ただ、亀裂は既に走り始めている。柚木道義元財務政務官(46)が代表選告示に合わせる形で離党届を提出した。柚木氏は記者会見で、玉木氏の路線が野党の分断を招いていることを離党の理由に挙げ、「解決するためには解党しかないのではないか」と語った。

 党の命運を握る今回の代表選。窮地を救うのはモノノフか、それともユーチューバーか。 (政治部 広池慶一)