いま評価高まる「ウルトラマンレオ」 命懸けの撮影だった? 出演者が明かす44年前の裏話

 
昭和のウルトラマンシリーズの中でも異彩を放つ「ウルトラマンレオ」(C)円谷プロ

 昭和の「ウルトラマンシリーズ」で異彩を放つのが「ウルトラマンレオ」(昭和49年)。放送から45周年を前に、平成シリーズの監督が新作を撮りたいと発言するなど、再評価の声が上がり始めている。

異色異彩を

 ウルトラマンレオは、ふるさとの獅子座L77星をマグマ星人に滅ぼされ、おゝとりゲンとして地球に身を潜めていた。だが、地球もついにマグマ星人に襲われる。宇宙パトロール隊MAC(マック)のモロボシ・ダン隊長が、ウルトラセブンに変身して戦うが負傷。レオはセブンを救うが、ダンはセブンへの変身能力を失う。レオはセブンに代って地球を守る決意をし、ダンはゲンの特訓を始める。

 異色の作品だった。M78星雲出身のウルトラ兄弟たちとは出自が異なる。全体に格闘色が強く、スポ根ものに通ずる特訓シーンが続いた。

 「帰ってきたウルトラマン」(46年)から毎年新作が放送された「昭和第2期ウルトラマンシリーズ」の4作目だが視聴率はふるわず、結果的に「レオ」をもってシリーズの放送はいったん終了した。

恐怖のジープ

 「今なら、あんな撮影はできないよね」

 口をそろえて撮影当時を振り返るのは、おゝとりゲンを演じた俳優、真夏(まなつ)竜(68)と、モロボシ・ダン役の俳優、森次晃嗣(75)だ。

 2人が思い出しているのは、ダン隊長が特訓のためゲンをジープで追い回した場面。

 「撮影で使ったのが中古のジープだったからブレーキが甘かった。急ブレーキをかけても6メートルは進んでしまう。実際に私の脚にバンパーが当たっていた」と真夏は恐怖を振り返る。

 「つまずいて転んだりしたらひかれちゃうわけだから、新人だったけど、監督に抗議したよ」

 監督は「うん分かった。はい、本番!」と一顧だにしない。鬼気迫る真夏の表情が放送されたが、「あれは芝居じゃない。本気で目が血走っていた」と苦笑する。

2人はほのぼの

 「当時、芝居に関しては素人みたいなもんでしたから、かなり迷惑をかけたと思うけど、それも覚えていないほどですね」

 真夏は、デビューしたて。森次は、「ウルトラセブン」を経て映画やドラマで活躍していた。

 森次は「迷惑なんてことはなかったよ。最初は、色が浅黒いし、当時はやっていた(カンフー俳優の)ブルース・リーに似て精悍(せいかん)な雰囲気があった。『こういうウルトラマンがいてもいいな』と思った」という。

 厳しい特訓の場面が続いたドラマだったが、森次が「どうもお先~。ゲン~、頑張ってな~」と声をかけるなど、2人の関係は朗らかでほのぼのとしたムードに包まれていたという。

似た時代

 放送当時、視聴率に苦戦したレオだが、近年人気が再燃している。ドラマ「ウルトラマンメビウス」(平成18年)や映画「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」にゲスト出演。放送時は特訓を受ける側だったレオが、新世代のウルトラマンの師匠の立場で登場した。

 森次は、「『レオ』には、今の時代にはないような師弟愛があった。今、厳しく叱る、叱られることへの憧れがあるんじゃないかな。そういう部分に現代は物足りなさがあるのかもしれない」とレオ人気再燃の理由を分析する。

 真夏は「今と放送当時の社会情勢が似ている」と指摘する。「得体の知れない不安があったり、異常気象だったりするでしょう」

 平成ウルトラマンシリーズを手がける坂本浩一監督は、「僕の一番の願いは、新作のレオを作ること」と明かした。8月16日に東京都内で開かれたイベント「ウルトラマンフェスティバル」で語った。

 真夏は「デビュー当時の作品に目を輝かせてもらえる役者っていないよね」と相好を崩す。

 「ファンの愛を裏切らないでいることが大切」。これからも、ゲンとしての思いを持ち続けていくと誓う。(文化部 兼松康)

 「ウルトラマンレオ」のブルーレイボックスが12月21日に発売される。放送された全51話を収録。ほかインタビューなどの特典映像も。