【リーダーの素顔】経営危機から再生果たし「成長へ挑戦」 熊谷組の桜野泰則社長 - 産経ニュース

【リーダーの素顔】経営危機から再生果たし「成長へ挑戦」 熊谷組の桜野泰則社長

創業120年を迎えた熊谷組を率いる桜野泰則社長=東京都新宿区(吉沢良太撮影)
創業120年を迎えた熊谷組を率いる桜野泰則社長=東京都新宿区(吉沢良太撮影)
創業120年を迎えた熊谷組を率いる桜野泰則社長=東京都新宿区(吉沢良太撮影)
創業120年を迎えた熊谷組を率いる桜野泰則社長=東京都新宿区(吉沢良太撮影)
創業120年を迎えた熊谷組を率いる桜野泰則社長=東京都新宿区(吉沢良太撮影)
 バブル経済崩壊後の経営危機から再建、再生を果たした熊谷組。今年4月に始まった3カ年の中期経営計画を機に経営陣を刷新した。桜野泰則社長(61)がトップに立って新生熊谷組を引っ張り、エネルギッシュかつスピーディーな取り組みで、収益基盤の長期安定と多様な収益源の創出を目指す。
 --中期経営計画で目指すのは
 「平成29年度までの中計では再生から成長に向けての安定した収益力の確保を経営目標に掲げ、数値目標を達成した。そこで今回の中計を『成長への挑戦』と位置づけ、建設工事請負事業の維持・拡大による収益力向上をベースに、新たな事業創出と他社との戦略的連携により売上高4600億円、(本業のもうけを示す)営業利益330億円、ROE(株主資本利益率=株主のお金を使ってどれだけ効率よく稼いだかを示す指標)12%を目指す」
 --中計の策定にかかわった
 「経営企画本部長だったのでリーダーとして参画した。チームは8人で、次代を担う役員と協議しながら骨子をまとめた。創業120年を迎えたが、まだ会社として成熟しておらず、むしろ成長過程にあり、伸びしろもある」
 --伸ばす分野は
 「一つが海外市場。台湾やベトナム、ミャンマーといった海外拠点の営業ネットワークの強化や現地企業とのパートナー関係の構築などで、最終年度には売り上げ250億円を目指す。現状の実力より100億円強上積みする必要がある。M&A(企業の合併・買収)も利用したい」
 --技術力も生かしたい
 「黒部ダム(富山県)のトンネル工事(石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」で知られる世紀の難工事)などで培った技術はどこにも負けない。当社のDNAであり、土木技術者の魂だ。トンネル工事は得意だが、そのほかの強いところも訴求する必要がある」
 --住友林業との提携は
 「ESG(環境、社会、企業統治に関する取り組み)のうち、環境でシナジー創出を期待している。木は建設素材として、間伐材はバイオマス発電として使う出口戦略でタッグを組んでいく。また住友林業の木造超高層建築の開発構想の実現に向けた技術の確立にもかかわっていきたい」
 --企業統治については
 「取締役会の実効性向上に向けて、ボードメンバー8人のうち2人を社外取締役とし、ダイバーシティー(多様性)に詳しい女性にも入ってもらった。建設業界は女性活用が遅れており、中でも現場で働く女性技術者が少ない。課題だと認識している」
 【野球】高校時代は投手として、甲子園出場一歩手前まで迫った。大学でも腕を磨き、都市対抗野球大会での優勝経験も持つ名門の門をたたいた。しかし入社前の春合宿で33球投げて不合格。「レベルの違いを知り、1年間ボール拾いを続けました」と笑う。その後、軟式野球に転じ全国大会に2度出場した。
 【フィリピン駐在】平成6年から4年間、フィリピン営業所に赴任。成長の勢いを感じながら「運転手に、メイド付きで小金持ちの感覚を味わいました」。
 【座右の銘】「信念をもって最後までやり抜く」。どんな難工事にも挑戦して克服してきた熊谷組のDNAの一つでもある。(経済本部 松岡健夫)
 桜野泰則氏(さくらの・やすのり)京都大学経済学部卒。昭和56年熊谷組入社。平成22年管理本部人事部長、23年執行役員、24年取締役、26年常務取締役、29年専務取締役を経て30年4月から現職。富山県出身。61歳。