“無料タクシー”の次は…機密文書処理0円 衝撃の「新ビジネス」続々

経済インサイド
企業向け機密文書処理無料サービスのイメージ広告

 広告収入で運行コストをまかなう日本初の運賃無料の配車・運行サービスが話題となる中、今度は“ゴミ箱”を広告塔にすることで、企業の機密文書を無料で処理するサービスが登場した。事業者は、インターネットで小口出資を募る仕組み「株式投資型クラウドファンディング(CF)」を使って、過去最高の8000万円超の資金調達を完了。広告を仕掛けにした無料化ビジネスの市場が広がっている。

 運賃無料の配車・運行サービスは今年5月、国内最年少の15歳での起業実績で知られる若手実業家が参入を表明し、日本クラウドキャピタルが運営する株式投資型CFで、募集開始からわずか4分半で5000万円の資金調達が完了した。

 (1)タクシー業界などに衝撃を与えた「無料運行」(2)サービスを請け負う運行会社nommoc(ノモック、福岡市)の社長が、大型イベントなどでの映像演出を手がけるセブンセンスを15歳で起業した吉田拓巳氏(3)資金調達手法が日本では珍しい株式投資型CF-の三拍子そろったニュース性で話題を呼び、当時としては最速で資金を調達した。

 今回、企業向けの「機密文書処理費用無料サービス」に参入するのは、TAAS(ターズ、東京都渋谷区)。

 企業は、製品開発や契約に関わる書類▽顧客や社員の個人情報の含まれた書類-などを処理する際、社内でシュレッダーにかけたり、外部に溶解処理を委託したりする。社内で処理する場合は時間と労力がかかり、溶解処理には委託コストが必要になる。

 ターズは昨年9月に、契約企業のオフィスに専用の段ボール回収箱を設置し、溶解処理後に、古紙を再生利用して作った契約企業のロゴ入りノートやメモ帳、コースターなどのノベルティーグッズを希望に応じて契約企業に発送する有料サービス「e-Pod(イーポッド)」を始めた。

 処理を終えた後に契約企業が希望するノベルティーグッズを“還元”することで、処理工程の「見える化」を実現した。古紙の再生利用という観点から、契約企業は国連の「持続可能な開発目標(SDGs=エス・ディー・ジーズ)」への貢献にもつなげることができる。

 ただ、企業の機密文書の処理サービスには、大手宅配業者や警備会社、産業廃棄物処理業者なども参入しており、競争は激しい。そこで同社は、鍵付きの機密書類専用の“ゴミ箱”にモニターを設置し、企業広告を流すことで、処理費用を無料にする新サービスに乗り出した。「大手広告代理店などが関心を示している」(大越隆行社長)という。

 今年7月中旬、「デジタルサイネージ(電子看板)機能を備えたゴミ箱」の開発費として、日本クラウドキャピタルの株式投資型CFサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」で上限額8500万円を募集。投資家の注目は高く、3時間8分で調達が完了(最終的に8290万円で確定)した。

 “ゴミ箱”は、賛同企業に無料で設置し、同社の提携先の日本郵便経由で溶解業者に送られ、リサイクル後にノベルティーグッズとして還元される仕組み。

 スタートアップ企業(創業間もないベンチャー企業)を中心に無料化ビジネスが広がりを見せているが、運賃無料の配車・運行サービスと同様、中長期的な事業展開にはスポンサーの確保と広告単価の維持が不可欠で、継続性をどう担保するか注目される。(経済本部 大塚昌吾)

 株式投資型クラウドファンディング ベンチャー企業の新たな資金調達手段で、未公開株を発行し、1億円未満を上限に広く資金を集められる。寄付型や融資型CFに対し、株式投資型は平成27年5月の金融商品取引法の改正で認められた。第1種少額電子募集取扱業者の承認を受けたサービス運営会社が、登録した投資家にインターネット経由で出資を募る。リスク回避のため、投資額は制度上1社50万円まで。サービス運営会社は、手数料収入を得る仕組み。