(1)法の規制を受けず 反社会勢力、外国の土地買収…このままでいいのか

太陽光発電は人を幸せにするか
「ぬりかべ」のように県道の両側に屹立する太陽光パネル=山梨県北杜市高根町上黒沢(北杜市太陽光発電を考える市民ネットワーク提供)

 「環境に優しい」-。太陽光発電といえばそう思い浮かべる人も多いのではないか。平成29年、太陽光発電を含む自然エネルギーは日本国内の全発電量(自家発電を含む)の15・6%を占めた(認定NPO法人「環境エネルギー政策研究所」の電源別割合推計)。太陽光発電だけでも5・7%の電力を賄い、今や水力発電(7・6%)に迫る勢いだ。ところが昨今、国内では様々なトラブルが発生している。景観被害、大雨の際の土砂崩れ。平成23年3月の東日本大震災の混乱が残る中、施行された固定価格買い取り制度は「太陽光バブル」をもたらし、乱開発ともいえる状況が生まれた。反社会的勢力と疑われる人物が関与したり、住宅地に迫る急傾斜地に太陽光パネルが敷き詰められても、住民にはなす術がない。太陽光発電は人を幸せにするのだろうか。

 山梨県北杜市。平成18年、旧北杜市と小淵沢町が合併して生まれた。人口約4万7千人。長野県と境を接する。八ケ岳を望む風光明媚な全国有数の観光地だ。同16年に北杜市となるまでは、ワインで知られ、サントリーの工場がある白州町、有名な避暑地「清里」がある高根町など、4つの町と3つの村に分かれていた。

 こののどかな避暑地に太陽光発電所が猛烈な勢いで増えている。北杜市小淵沢町に平成26年4月から移住している「北杜市太陽光発電を考える市民ネットワーク」共同代表の帆足興次さんは「全国平均の日照時間が年間2千時間弱といわれるなか、北杜市明野町では年2625時間と全国有数の日照時間があります。そこで大小様々な業者が続々とこの地に進出し、生活や自然環境に深刻な問題を及ぼしているのです」と話す。

 工学博士でもある帆足さんは、北杜市で平成26年ごろから急激に増えてきた太陽光発電の設置状況に危機感を持ち、様々なデータを提示してきた。

 「太陽光発電の重要性は理解しています。しかし、景観や自然破壊につながるケースが多い。国は未だに有効な規制をしていない。野放図な開発には反対です」と話す。

 北杜市高根町上黒沢の県道28号線。幅員6メートルほどの道路を走っていると、突如として道の両脇に太陽光パネルが林立している光景が目に飛び込んでくる。

 何もここまで、と思うほど、道路ギリギリに、設置当初は傾斜を45度ほどつけて立てていたため、太陽光パネルが、まるで水木しげる氏の漫画「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる「ぬりかべ」のように迫っていた。正面には八ケ岳が見える。いったんは全面撤去し、傾斜角度も緩やかになったのだが「与える印象はあまり変わりません」(帆足さん)。

 アルピニストの野口健さんは平成29年7月、産経新聞のコラム「直球&曲球」でこう書いている。

 「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が始まった頃から専門家の間では懸念の声があがっていたが、正直いまひとつピンときていなかった。(中略)今まで注目されてこなかった分野が活気づけばいいとすら感じていた」

 山梨県に居を構える野口さんは次のようにも言う。「驚かされたのが伊豆高原メガソーラーパーク発電計画だ。大室山近くの山腹の森林を大伐採しソーラーパネルを12万枚並べるという。敷地面積は約105ヘクタール。東京ドーム20個分である」

 そして、こう結ぶのだ。「美しい景観を壊してまでメガソーラーは本当に必要なのだろうか」

 多くの人は、太陽光エネルギーと聞くと、「自然由来で、二酸化炭素を排出しない」「環境に優しい」未来の電力の主役に躍り出る可能性すらある優れたエネルギーだと想像するのではないか。

 その太陽光発電が、各地でトラブルになっている。森林は太陽光発電所建設のために失われ、民家を睥睨(へいげい)する崖地にパネルが並べられても、法的にこれを止める手段はない。しかも中国や韓国、スペインなどの外国資本が、日本国内で大規模な太陽光発電所の建設に参入した。また、それまでの建設業、産業廃棄物処理業、不動産業、パチンコといった別業種からの参入も急増した。

 50キロワット以下の太陽光発電所を個人に販売する業者も活況を呈している。だが、太陽光ブームが落ち着いたここ数年、業者の倒産が相次ぎ、発電所が建設されないまま、それを購入した人々が途方に暮れるケースが続出。暴力団など反社会的勢力の関与をうかがわせる物件や、詐欺まがいの裁判沙汰も起きた。次回は、反対運動が起きている山梨県北杜市の現状を紹介する。(WEB編集チーム 三枝玄太郎)