職務質問で特殊詐欺「受け子」摘発、3倍超に 過去事例から特徴つかんだ  - 産経ニュース

職務質問で特殊詐欺「受け子」摘発、3倍超に 過去事例から特徴つかんだ 

特殊詐欺事件の「受け子」の特徴
 高齢者らにうその電話を掛けるなどして現金をだまし取る特殊詐欺について、警視庁が現金の受け取り役の「受け子」を職務質問で摘発した件数が今年上半期で32件となり、昨年1年間の3倍超に達したことが、警視庁への取材で分かった。過去に摘発した特殊詐欺事件から受け子の服装など特徴の傾向を把握し、職務質問の参考情報にしたことが奏功している。その一方、いわゆる「だまされたふり」作戦への犯人側の警戒が高まっているとされ、攻防は複雑化している。(三宅真太郎)
出没場所の特徴も
 6月中旬の平日昼過ぎ、私鉄の駅前で10代後半の少年がスマートフォンを操作しながら、タクシー乗り場近くをうろついていた。スマホから視線を上げると、近くにいる調布署の警察官から注視されていた。足早に離れようとしたが、すぐに声がかかる。
 「職務質問です。協力してください」。少年のかばんの中から出てきたのは「金融庁」と書かれた偽造の身分証。少年は詐欺グループからスマホで指示を受け、周辺住宅に現金を受け取りにいく受け子だった。
 警視庁地域指導課によると、警察官の職務質問で受け子を摘発した件数は平成28、29の両年がともに10件だったのに対し、今年は6月末時点ですでに32件に達した。
 背景には受け子に関するデータの蓄積と分析がある。過去の事件から公務員、子供の同僚らを装う受け子について「着慣れていないスーツが体のサイズにあっていない」「スーツにスニーカーなど組み合わせが不自然」などの外見、「平日昼間の繁華街周辺」など出没場所の特徴を把握して各署に周知。
 その上で詐欺電話が相次いでいるエリアで職務質問を展開し、受け子発見につなげている。
被害額は高水準
 従来の捜査では、詐欺グループにだまされたふりをして受け子をおびき出して摘発する「だまされたふり」作戦が力を発揮してきた。同作戦による摘発件数はなお多いものの、捜査関係者は「詐欺グループから警戒されている」と指摘する。自宅周辺で現金を受け取らずに被害者を自宅から離れた駅などに呼び出し、警察官が周囲にいないか確認しているとみられる事件も確認されており、手口は巧妙化してきている。
 警察庁によると、今年1~6月の全国での特殊詐欺の被害額は前年同期より13億3千万円少ない174億9千万円だった。半期ベースでは4年連続の減少だが依然として高水準が続く。
 被害者の75・7%は65歳以上の高齢者。警視庁では6月に東京都警備業協会と協定を結び、現金自動預払機(ATM)の保守・点検をする警備員が高齢者に被害防止の声かけをする取り組みも始めており、同庁幹部は「多方面から特殊詐欺への包囲網を敷いていきたい」と語る。
 特殊詐欺 面識のない不特定の人に対し、電話やメールなどを悪用して現金やクレジットカードといった金品をだまし取る詐欺。「オレオレ」「架空請求」「融資保証金」「還付金」「金融商品取引」など手口は多様化している。犯人側の組織性が高いのが特徴で、電話をかけて被害者をだます「かけ子」、金品を直接受け取る「受け子」、金融機関で金を引き出す「出し子」、受け子や出し子が金品を持ち逃げしないように監視する「見張り役」などと呼ばれる役割に分かれている。