【リーダーの素顔】EVなど「大変革期」に新製品を開発 曙ブレーキ工業の信元久隆社長 - 産経ニュース

【リーダーの素顔】EVなど「大変革期」に新製品を開発 曙ブレーキ工業の信元久隆社長

組織改革にも意欲的な曙ブレーキ工業の信元久隆社長=東京都中央区(荻窪佳撮影)
組織改革にも意欲的な曙ブレーキ工業の信元久隆社長=東京都中央区(荻窪佳撮影)
組織改革にも意欲的な曙ブレーキ工業の信元久隆社長=東京都中央区(荻窪佳撮影)
組織改革にも意欲的な曙ブレーキ工業の信元久隆社長=東京都中央区(荻窪佳撮影)
 数ある自動車の部品の中でも確実な機能が求められるブレーキ分野において、主力のブレーキパッドで世界シェア約20%を誇る曙ブレーキ工業。大変革期の自動車業界で勝ち残るため、新製品開発や人材育成などに力を入れる。約30年間、トップを務める信元久隆社長(69)に戦略を聞いた。
 --電気自動車(EV)といった電動車へのシフトなど自動車業界は大変革期を迎えている
 「(主流の)摩擦ブレーキは信頼性が高く、大量生産できるためコストも抑えられる。5~10年くらいは大丈夫だが、考え方は変えていかなければならない。電動ブレーキを電気で制御する場合、配管などが必要なくなるので軽量化につながる。当社は既に電車のブレーキを手掛けている。これまでは自動車で培った技術を他に展開してきたが、電動化では鉄道車両の技術を見ながら車の方を考える」
 --新技術の開発方針は
 「必要とされている軽量化などを考えた上で、新しいタイプを先行開発している。ブレーキの仕組みは40~50年変わっていなかったが、今年6月には新構造のブレーキを発表した。環境対応では、摩耗粉を閉じ込めて外に出さない『MR流体ブレーキ』も開発している。今のブレーキの代替をするだけでなく、機能を付加していきたい」
 --経営者として大事にしていることは
 「テクニックよりも思想だ。父(前社長の故信元安貞氏)は『誠をもって人に接し、和をもって事を計り、魂をもって志を貫く』という処世訓をつくり、これを『誠和魂(せいわこん)』という社是にした。私が社長になった後も平成11年、コアとなる技術を中心に本業に集中することの重要性を『曙の理念』としてまとめた。バブル経済の時期に不動産事業に手を出すなど、会社が少しおかしくなっていたため、理念を再構築する必要を感じたからだ。社員一人一人が成長していくことで、会社が変わっていくというのが本来の姿だ。10~20年先のことを考えられる人をもっと増やしていきたい」
 --28年にビジネスユニット(BU)制を導入し、5つの製品別事業部を発足させた
 「それまでは地域ごとの対応だったが、(顧客の)自動車メーカーから見ると、同じ製品を買っても地域ごとに違っていた。製品ごとに顧客を優先するための権限と責任が明確になっていなかったので、それを作り上げていく。BUの長である5人がどこまで育っていくか、期待している」
 【フランス】仏社での勤務経験で縁ができた。曙ブレーキ工業が現地で事業を展開していることもあり、平成27年にはナポレオンが制定した栄典制度に基づく「レジオン・ドヌール勲章オフィシエ」を受章した。
 【家族】死別したフランス人の前夫人との間に息子が2人。7年、元宝塚男役トップスターで女優の麻実れいさんと再婚した。
 【趣味】文楽の鑑賞や観劇を楽しむ。健康維持のための水泳は1回2キロ、年間50回で100キロが目標。
 【愛読書】パリで暮らしていた20代の頃、池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」を読み、おいしそうに描写されている日本料理を食べた気になって満足していた。(経済本部 高橋寛次)
 信元久隆氏(のぶもと・ひさたか)昭和24年5月9日生まれ。一橋大商学部卒後、仏D・B・Aを経て昭和52年曙ブレーキ工業。取締役、専務、副社長などを歴任、平成2年から現職。20~24年に日本自動車部品工業会会長も務めた。兵庫県出身。