閉館後の「デザインあ展」に潜入 伝統の「紋」×最先端の音楽…圧巻の「森羅万象」 - 産経ニュース

閉館後の「デザインあ展」に潜入 伝統の「紋」×最先端の音楽…圧巻の「森羅万象」

 NHK Eテレで放送中の「デザインあ」。「こどもたちの未来をハッピーにする“デザイン的思考”をはぐくむ」という番組のコンセプトを体感できる企画展「デザインあ展 in TOKYO」が東京・日本科学未来館で開かれている(10月18日まで)。22万人を動員した前回展から5年ぶりとあり、90分待ちになる日があるほど人気だ。子供はもちろん、大人も楽しんでデザインマインドを学べる展覧会に閉館後、潜入した。(WEB編集チーム 松尾祐紀、写真も)
会場入り口にあるフォトスポット『「あ」になろう!』。真ん中に立てば「あ」になれます=東京都江東区(松尾祐紀撮影)
 会場は「観察のへや」「体感のへや」「概念のへや」に分かれており、かなりの広さ。担当者によると「混み具合にもよりますが2時間ほどあれば全て見ることができます」。フラッシュを使用しなければ撮影も可能、SNS投稿もOKだ。実際、SNS映えする展示は多い。
 「観察のへや」
「梅干しのきもち」。頭を入れるとお弁当の完成=東京都江東区
 その一つが「梅干しのきもち」だ。最初の「観察のへや」にあり、インスタ映えする写真が撮れると評判で連日、行列ができるほど。巨大な弁当箱に敷き詰められた白米の真ん中から頭を出し、梅干しの気持ちになれるという趣向だ。まさか人生で梅干しの気持ちになれる日が来ようとは…。友人と写真を撮り合っても楽しい。
 
佐藤卓+サンク・アールによる「チューブのあ」。東京展で登場した=東京都江東区
 5月まで開かれていた富山展には無かった展示の一つが、『チューブの「あ」』だ。総合ディレクターの佐藤卓氏とサンク・アールによるもので、巨大なチューブから中身が出る瞬間を捉えた展示。説明には「毎日見ているけど、気がつかない面白さがそこにはあります」とある。入場してすぐの場所にあるため見落とさないよう注意。
「全国名字かずくらべ」。8万の名字があいうえお順に=東京都江東区(松尾祐紀撮影)
 つい自分の名字を探してしまうのが『全国名字かずくらべ』。8万字の名字があいうえお順に並べられた大作だ。フォントの大きさと名字の人口が比例しており、クラスに1人はいるであろう「山本」「中村」といった名字はかなり大きめ。分かってはいたものの、なんだか負けた気分になる。逆に珍しい名字は肉眼では見えないほど。それでも、虫眼鏡が用意されておりしっかり確認できる。
 
番組でおなじみの「デッサンあ」が体験できるコーナー。公式サイトにも掲載される=東京都江東区
 番組の人気コーナー「デッサンあ」が体験できるコーナーもある。この日のモチーフは信号機。ぐるりと取り囲み、各々がデッサンする。
 スタッフに渡せば会場内の大型モニターに映し出されるほか、公式サイトで紹介される試みもユニーク。自分の描いた絵が採用されるとちょっと誇らしい。こうした参加者を巻き込む双方向の展示が人気の秘訣なのだろう。
 モチーフは今後も変わっていくため、訪れた日にどんなモチーフに当たるかも楽しみだ。
 
コンパスと定規を使って紋を書ける「もんどころ」=東京都江東区
 「もんどころ」も自分で描けるコーナーだ。コンパスや定規などを使って「梅」「三つ巴」など4つの紋様が描ける。タブレット端末が手順を教えてくれ、5~12分で完成するというもの。日本の伝統的な紋を自ら作り上げるという体験はなかなか希少だ。
 「体感のへや」
体感のへや「ガマンぎりぎりライン」の一場面。手前の女性と比べると画面の大きさが分かる=東京都江東区
 第2の部屋は「体感のへや」。5メートルはあろうかという大画面に360度取り囲まれ、番組でおなじみの「解散!」「ガマンぎりぎりライン」といった映像作品が大迫力で体感できる。
 
体感のへや「森羅万象」の一場面=東京都江東区
 圧巻だったのは「森羅万象」。円と直線で「徳川葵」「海老」などあらゆる紋を一瞬で書き上げる映像作品だ。先ほどの「もんどころ」にあった「梅」「雁金」「三つ巴」も登場する。自分で描いた紋が大写しにされるとなんだか感慨深い。
 スタイリッシュかつ情報量も多く、個人的にも放送時から印象的だった作品。ミュージシャンの小山田圭吾による最先端の音楽と日本の伝統的デザイン「紋」が時空を超え完璧にシンクロする。それに360度取り囲まれる幸福。最高だ。
 「概念のへや」
 そして第3の部屋が「概念のへや」であるが、ここはぜひ自らの目で確かめて欲しい。「時間を言葉で表すなら?」「もしもトイレがいつもと違う長さだったら?」など、時間や空間について、新たな視座を提供してくれる。自分の中の常識がゆらぐ快感を味わうことができる。
 
未来のイメージを「あ」を使って描く『みらいの「あ」』。番組で取り上げられるかも?=東京都江東区
 企画展示ゾーンの外にあるのが『みらいの「あ」』。用紙の真ん中に薄く「あ」の文字が書いてあり、それをモチーフにデザインするというもの。展覧会ディレクターや参加作家が面白いと思えば、会場で展示されるほか、番組で採用されるチャンスもあるという。番組と連動する展示というのも「デザインあ展」ならではだ。
 家族連れのほか、若い女性や美大生、外国人観光客なども訪れ、連日整理券を配布している。待ち時間は公式ツイッター(@design_ah_TOKYO)でチェックできる。
 音楽も映像もコンテンツがコピー可能な時代にあって、体感型の展示が人気になると言われて久しいが「デザインあ」展も実際に体感できる点が多くの人に受けている。普段の生活の中に隠れた「新たな視点」を獲得するために足を運んでみてはいかが。
 企画展「デザインあ展 in TOKYO」は10月18日まで、東京都江東区青海2の3の6、日本科学未来館1階、企画展示ゾーン。休館日は9月4日、11日、18日、25日、10月2日、9日、16日。大人(19歳以上)1600円、小学生~18歳以下千円、3歳から小学生未満500円。ハローダイヤル(電)03-5777-8600。