KTXは「乗客のみなさんを信頼しています」 韓国版新幹線は改札も検札もなし - 産経ニュース

KTXは「乗客のみなさんを信頼しています」 韓国版新幹線は改札も検札もなし

 【酒呑み鉄子の世界鉄道旅 KTXに乗る韓国旅(3)】 前回お伝えしたように、龍山(ヨンサン)駅発光州松汀(クァンジュソンジョン)駅行きKTX541号の「一般席」に乗車した。しょせん一般席には特筆すべきことなどないだろうと思いきや、これが意外にいい。(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文)
 無料Wi-Fiが完備され、数席置きに電源とUSBポートがあり、電池切れの心配もいらない。各座席の頭上に読書灯があり、引き出し式の収納テーブルも大きめで使いやすい。
KORAIL(韓国鉄道公社)の無料Wi-Fi。繋いでみたらサクサク動いた
 残念なのはシートピッチが狭いことと、座席が前向きと後ろ向きで固定され、回転できないこと。進行方向に背を向けるのが苦手な人もいるだろう。私もそう。そのため、座席は乗車券購入時に指定できるが、進行方向を知らずに買ってしまった場合でも、KTXでは空席があれば移動できるのでご安心を。
車内中央のこの席を境界線に、前向きと後ろ向きの座席が固定されている。グループならこの席は楽しそう
 「わたしたちは乗客のみなさんを信頼しています」
 こういった乗車ルールを事細かに英語で丁寧に説明してくれたのは、20代後半と思われる若い男性車掌さん。KTXはヨーロッパにならって信用乗車方式を採用していて、改札もなければ車内検札もない。購入した座席のカテゴリー内(今回は一般席)であれば、座席の交換や移動は自由。他の乗客がその座席を買っている場合は、車掌が知らせに来るそうだ。ファーストクラスは満席になることが多く不正乗車はできないにしても、わりと空席のある一般席に、立席の乗車券の持ち主が座らないのには驚いた。
車両の連結部分に折りたたみ式の座席があり、立席の人はここに座ることができる
熱心な英語教育の賜物?
 それよりもっと驚いたのは車掌さんの英語力だ。発音がきれいなだけでなく、単語に多少詰まったら「英語がうまくなくてすみません」とエクスキューズ。
 飛行機はともかく、非英語圏の鉄道では英語を話さない乗務員も多い。フランス語圏、ドイツ語圏、スペイン語圏、アジア…。これまで何度ボディランゲージで乗り越えただろう。もちろん、どの国でも「英語を話せなくてごめん」なんて言わなかった。
 それが韓国では。龍山駅の券売窓口の女性は英語も日本語もしゃべったし、韓国では英語教育が盛んって聞くけど、これは助かるわ。
韓国でもゆるキャラブームがあるのだろうか。車内モニターではKTXのキャラクターのアニメが流れていた。このときの時速は292キロ
 そうそう、もうひとつびっくりしたのが、バナナケースとバナナの自動販売機。「こんなの誰が買うんだ」と思ったら、車内でふたりも食べていた。私も朝からがっつりビビンバなんてかきこまず、今度はバナナを持って乗車しようと思う。
龍山駅にあったバナナとバナナケースの自販機。カラフルなバナナケースにはバナナがあらかじめセットされている
 『KTXに乗る韓国旅(4)』は9月2日掲載です。
酒呑み鉄子/江藤詩文(えとう・しふみ)うまい酒と肴と料理を求めて世界を呑み歩くフード&トラベルジャーナリスト。車窓を眺めながらの飲み食いをこよなく愛し、寂しさを癒やす酒だけがひとり旅のお供。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅」全3巻。