「いくつも壁がある」セッター転向3年目、もがく金子聖輝 エースとして春高2連覇もJTで定位置つかめず

バレーボール通信
Vリーグ男子のビーチバレー大会で準決勝進出を逃し、悔しそうな表情を見せるJTの金子聖輝=7月22日、東京・台場(奥村信哉撮影)

 男子が1~3部、女子は1、2部に再編されたバレーボールの新「Vリーグ」は10月26日、男子1部のサントリー-JT(東京・大田区総合体育館)を皮切りに、2018~19年シーズンが開幕する。記念の開幕戦に登場するJTで、レギュラー奪取を目指すのが入団3年目の金子聖輝(まさき、20)だ。全日本高校選手権(春の高校バレー)でエースアタッカーとして東福岡高を2連覇に導いた有望株は、JTでセッターに転向。「まだあきらめてはいない」という20年東京五輪も見据え、研鑽(けんさん)の日々を送る。

 7月22日、金子は本拠地の広島を離れ、東京・台場の屋外特設コートにいた。恒例となったリーグの男子選手によるビーチバレー大会にセンター中島健太(26)とのペアで出場。「まったく経験がない。ぶっつけ本番」。慣れない足場に戸惑いながらも、アタッカー時代をほうふつさせる好スパイクを連発。準決勝進出を懸けた浅岡遥太(29)、宮田航輔(26)の東京Vペアとの一戦では、終盤の勝負どころでドリブルをとられ、思わず「まじっすか!」と絶叫した。レクリエーション大会ながら、観衆から笑いが出るほどの執着心を示し、負けん気の強さをのぞかせた。

 経歴は華々しい。小学3年でバレーを始め、セッターを任されたが、中学2年でアタッカーに転向すると、12年全国都道府県対抗中学大会では福岡県選抜のエースとして優勝の立役者となった。東福岡高では春高2連覇を経験し、主にセッターで起用されたユース日本代表でも14年アジアユース選手権銀メダルに貢献した

 卒業後は同年代の有望選手の大半が大学に進学する中、東京五輪を見据えて高いレベルでの成長を誓い、JTに入団。「アタッカーとしては小さい(190センチ)ので、セッターとして世界トップを目指す」と“二刀流”にも終止符を打った。ただ日本代表経験もある正セッター深津旭弘(31)の存在は大きく、入団からの2シーズンはセット終盤での短い起用がほとんど。ここまで満足のいく出場機会を得られていない。

 「本当は試合に出て勝ちたい。そのためにはいくつも壁がある」。課題に挙げるのが安定感だ。「練習試合でもいいところは出るが、それを安定して1試合出さないといけない。緊迫した終盤などに自分のプレーを出せていない」。経験不足を急ピッチで補い、指揮官の信頼をつかむのは容易ではないが、「まず目の前のことをやって、どんどん上っていかないと」と闘志は衰えていない。

 チームの目標はプレミアリーグとして行われた14~15年シーズン以来の優勝。「所属先で試合に出られなければ日本代表もない。まずは出て、結果を残していきたい。セッターに転向してよかったと思える道を築きたい」。代表の正セッターが藤井直伸(26)=東レ=で固まりつつある中、春高で脚光を浴びた20歳は大きな夢の実現に向け、正念場の3シーズン目を迎える。(運動部 奥村信哉)