人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」 ファンが静岡・沼津に殺到するヒミツ - 産経ニュース

人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」 ファンが静岡・沼津に殺到するヒミツ

巨大な横断幕が掲げられた仲見世商店街=5日、静岡県沼津市大手町(石原颯撮影)
ファン主催のコンサートには約800人が詰めかけた(川島裕五さん提供)
 人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」で静岡県沼津市が沸き立っている。アニメに登場するキャラクターが大きくあしらわれたTシャツやグッズを身につけたファンが、市内の至るところを歩く姿も、もはや見慣れた光景となった。アニメ放送開始から2年が経つが、飽きられるどころかますます人気に拍車が掛かっている。なぜ沼津にファンが集まるのか、その背景に迫った。
 「ラブライブ!」は、部活動としてアイドル活動をする9人の女子高校生の奮闘を描くメディアミックス作品群。アニメのみならず演じる声優が行うライブやスマホゲームなど多面的に展開されるのが魅力だ。
 シリーズ2作目に当たる「ラブライブ!サンシャイン!!」は都内を舞台とした前作と打って変わり、沼津市、それも市街地から離れた小さな港町である内浦地区が舞台の中心だ。
 彼女たちが通う高校や主人公の家などのモデルは同地区に集約されており、現地を訪れれば、アニメで見たままの景色が広がる。
 週4回は訪れるという東京都北区の宮城光さん(21)は「富士山があり、海もある。自然が豊か」と魅力を語る。風光明媚(めいび)な町並みを写真に収めながら仲間とともに自転車で沼津を巡るという。
巡礼先が波及
 アニメが放送された当初、巡礼客の行き先は内浦地区が主だったが、現在はアニメ内で登場の少なかった市街地にまで波及している。駅南口にほど近い仲見世商店街でも巨大な横断幕を掲げるなど、街全体で歓迎ムードを醸成している。
 その草分け的存在といえるのが駅南口のあげつち商店街にある「つじ写真館」。いわゆる“聖地”ではなかったが、掲示用の黒板に巡礼マップをキャラクターとともに描いたことがきっかけでファンに認知されるようになった。ファンの寄贈写真で作るアルバムは37冊目に突入。写真を入り口にファンとの交流を深めている。
 写真館の峯知美さん(47)は同商店街振興組合の副理事も務め、キャラクターの誕生日を祝うポスターを各店舗で飾るなど商店街ぐるみの企画を展開している。「ラブライブをきっかけに(商店同士が)親しくなれた」と話す。
 市商工会議所が昨年5月に回遊性を高めるため始めた同作品とコラボした「沼津まちあるきスタンプ」も各商店の取り組みを後押し。加入店舗は当初の9店舗から一部市外を含む57店舗にまで増加。新しい店との出会いを創出している。全店をめぐり、コンプリートしても特に景品があるわけではないが、ファンの間では店探しのきっかけに使われている。市商工会議所の担当者は「おもてなしをしようという店はまちあるきスタンプをきっかけに誘客に成功している」とその効果を実感している。
ファン同士の輪
 ファン同士のコミュニティーも沼津で広がっている。東京都板橋区の伊沢諒さん(22)はバイクで巡礼中に、同じバイクが趣味のファンに声を掛けられたことで、輪が広がった。最も多いときで9週連続で訪れたといい、「沼津にいれば誰か必ずいる。仲間に会いに来ているようなもの」と笑う。
 また、ファンのコミュニティー化の象徴ともいえるのが「部活動」だ。形はさまざまで、サークルのように加入するものもあれば、ツイッターで「#」をつけて投稿すれば誰でも参加できる「浦の星写真部」のようなものもある。
 5~6月にかけて市がクラウドファンディングで集金して作製したキャラクターマンホールがスプレーでいたずらされるなど、ファンの楽しみを壊すような残念な事案も発生したが、多くのファンと交流を持つ沼津市の小沢隆市議によると、「99%の方はマナーを守って沼津を楽しんでくれる人」と強調する。聖地にもなっている海岸の清掃活動に参加するファンがいるなど、多くのファンは「自分たちの好きなコンテンツに悪い評判は立てたくないと思っている」と話す。
 7月14日に狩野川の河川敷で開催された「音で沼津を照らしたいコンサート」はファンが主催した無料イベントだ。主催したのは趣味でバンド活動をしている川崎市の片岡雄介さん(27)で「沼津で温かい人柄に触れた感謝を音楽で返したい」と企画。約800人が集まる大盛況となった。ファン向けの楽曲などを演奏したコンサートの運営はラブライブを通じて知り合った仲間がサポート。「人の好意に支えられたイベントだった」と振り返る。「みんなで叶える物語」という同シリーズのコンセプト通り、ファンと街が一体となって市を盛り上げる雰囲気が街に根付いている。
 来年1月には劇場版の新作が公開される。この活気はまだまだ続きそうだ。(静岡支局 石原颯)