13年交際 それでも結婚しない息子 孫の顔も見たい…

川村妙慶の人生相談
イラスト・千葉真

相談

 東京で働く次男(38)は13年間、職場の同期で1歳上の女性とお付き合いしています。最近、一緒に住み始めたようです。11年前、「結婚したい」と彼女を奈良の実家に連れてきたことがあり、素直そうな彼女と私は会話も弾み、楽しく過ごしました。しかしその後、結婚話は進まず、今にいたっています。

 2人はどうするつもりなのか、私のやきもきしている気持ちを伝えても、息子は「もうちょっと待って」と言うばかり。彼女とは11年前に会ったきり、話す機会もありません。あまりにご無沙汰で、もしや息子の彼女は幻なのか…と思えるほどです。

 息子も彼女も仕事は充実し、海外旅行にも出かけて幸せそうですが、結婚するならするで早く決めてほしいし、孫の顔も早く見たい。彼女と話したいと思い、上京の際に食事に誘いますが、時間を作ってもらえません。どうすればいいのでしょうか。(奈良県、68歳、無職)

回答

 ようこそお便りくださいました。息子さんと彼女にゴールインしてほしいと思うのは当たり前の母心ですよね。

 しかし息子さんの「もうちょっと待って」には意味があるような気がします。お互いの経済観念や価値観など、籍を入れる前に学習しているのかもしれませんよ。結婚経験者はいいます。「とにかく結婚したらいいのよ」と。しかし、あなたの時代と息子さんの時代では結婚に対する価値観が変わったことも、知っておかなければなりません。

 さて、私は悩んだり迷ったりしたとき、中国の古い書物「淮南子(えなんじ)」に書かれている「人間(じんかん)万事塞翁が馬」のことを思い出しています。

 中国のある老人の馬が、北方へ逃げてしまいました。近所の人は気の毒がりましたが、老人が「これが幸福にならないとも限らないよ」と静観していると、逃げ出した馬が良い馬をたくさん連れて帰ってきました。今度は、近所の人がお祝いを伝えると、老人は「これが災いにつながらないとも限らない」と言います。すると、老人の息子が落馬して骨折。それを見て近所の人はお見舞いを言いますが、しかし老人は「これが幸福にならないとも限らない」。やがて戦争が起こり、若者が出征する中、老人の息子だけは行かずに無事だった、という話です。

 「人間」とは世間という意味です。世間ではこれが常識だとか、こうするべきだという意見はあります。その常識に流されてしまうのが私たちです。しかし、その常識は、本当に幸せへと導いてくれるでしょうか? 禍福(かふく)は予測できないのです。きっとあなたも結婚後、ご苦労されたことがあったのではないでしょうか。どうか息子さんに「彼女を娘だと思っているよ」と、「気持ちは家族よ」と伝えながら見守ってくださいね。

回答者

 川村妙慶 僧侶兼アナウンサー。53歳。ラジオのパーソナリティーとして活動するほか、ブログの法話を日替わりで更新している。著書に「妙慶さんのおさまる35のお話」(こう書房)など。

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