異なる人口減の要因 自治体ごとに分析・対策を 論説委員・河合雅司 

日曜講座 少子高齢時代

 人口減少問題を解決する上での難しさは、地区によって変化のスピードや要因が大きく異なる点にある。それぞれに課題が違うため、他の自治体の取り組みが参考になるとはかぎらない。

人口増幅1位は福岡市

 例えば、同じ政令指定都市でも個々に事情は異なる。総務省がこのほど公表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2018年1月1日現在)が自治体ごとの人口増減ランキングをまとめているが、これを分析するとこうした事情が浮き彫りになってくる。

 人口増加幅が1位だったのは福岡市(1万4116人増)だ。これに川崎市(1万3864人増)、大阪市(1万1007人増)、さいたま市(1万602人増)名古屋市(9046人増)が続く。これら上位5都市を比較してみよう。

 自然増加(出生者数と死亡者数の差)をみると、1位は川崎市(2995人増)、2位は福岡市(2507人増)だ。残り3市はベスト10に名前が見つからない。

 一方、社会増加(転入者数と転出者数の差)では大阪市(1万8353人増)、福岡市(1万1609人増)、名古屋市(1万1175人増)など、これら5都市でベスト5を占めている。

 自然増加、社会増加ともに増えた福岡、川崎両市に対し、大阪と名古屋の両市は他の自治体からの転入者によってかろうじて人口増加を維持しているということだ。

大阪市の「自然減」最悪

 それどころか、大阪市に至っては、自然減少がワーストの7346人減だ。ちなみに、社会減少が大きかった自治体の3位には堺市(1485人減)、9位に寝屋川市(1025人減)と大阪府下の2つの自治体がランクインしている。大阪市は出生数のマイナス分を、周辺自治体などからの人口流入で補っていることをうかがわせる。

 だが、大阪市のこうした構図はいつまでも続くわけではない。周辺を含むほとんどの自治体で、今後は人口が激減し始めるためだ。大阪市が人口激減を緩和させるには出生数の改善が急がれる。

 他方、自治体の人口に大きな影響を与える要素に外国人住民の存在がある。彼らの動きを加味するとどうなるかを見てみよう。

 2018年時点で最も外国人住民の多い自治体は、大阪市(13万1582人)だ。横浜市(9万1440人)、名古屋市(7万8556人)がこれに続く。

 この1年間の増加数でみても、大阪市6139人増、名古屋市5799人増、横浜市4856人増となっている。大阪市や名古屋市の場合、増えた人口の過半数が外国人だったことになる。

 しかも、この両市で外国人住民が増えた理由は、社会増加によるところが大きい。大阪市が1位で6392人増、名古屋市が2位の5464人増だった。

 当然ながら、外国人労働者は仕事を見つけやすい都市部に集中する傾向にある。国内在住の外国人249万7656人のうち、三大都市圏に70・38%が集まっており、6年連続して70%を超えた。

外国人は大都市に集中

 圏域ごとにみると、日本人住民は、東京圏では増加を続けているものの、関西圏と名古屋圏はマイナスになっている。これに対して、外国人住民は三大都市圏とも増加が続いている。

 地方圏も外国人住民は増加傾向にあるものの、それを上回る勢いで日本人が減っているため、全体としては人口が減少基調にある。

 政府が外国人労働者の受け入れ拡大方針を明確にしたことから、人口減少に悩む自治体では、外国人住民を増やすことで人口減少に歯止めをかけようと皮算用をしているところもある。

 だが、こうしたデータを見る限り、魅力的な仕事が乏しい自治体が、多くの外国人の定住を当て込むというのは、なかなか難しいと言わざるを得ない。そもそも、よりよい就職先を求める外国人労働者が、いつまで日本に住み続けるか定かでない。

 各自治体に求められているのは現状の人口規模を維持せんがために策を弄することではなく、人口が減少しても地域住民の暮らしが維持できるようにする方策である。

 各自治体の首長がまず取り組むべきは、それぞれの人口減少要因をしっかり分析することだ。その上で、戦略的に縮むための段取りを練ることである。