【TVクリップ】「太陽を愛したひと 1964あの日のパラリンピック」向井理 - 産経ニュース

【TVクリップ】「太陽を愛したひと 1964あの日のパラリンピック」向井理

昭和39年の東京パラリンピックを成功に導いた整形外科医を演じる俳優の向井理(荻窪佳撮影)
昭和39年の東京パラリンピックを成功に導いた整形外科医を演じる俳優の向井理(荻窪佳撮影)
大会を楽しめる起爆剤に
 昭和39年の東京パラリンピックを成功に導いた伝説の整形外科医、中村裕(ゆたか)(59年に57歳で死去)を演じる。「一言で言うと本当に熱意と行動力がある人。実在の人を演じるプレッシャーは大きいが、まずは中村先生が生きた時代と信念のエッセンスをどれだけ表現できるか考えた」
 日本ではリハビリという言葉すらなかった35年。中村はイギリスでスポーツを取り入れた障害者医療を学び、帰国後、障害者スポーツの普及に尽力する。「見せ物にしないでほしい」という障害者家族からの反対の声も挙がる中、日本選手団団長として東京パラリンピックに臨んだ。
 「台本で初めて知り、勉強になった。当時を知らない自分からしても差別みたいな目は今よりもさらに厳しかったことを考えると、すごい人がいたんだなと単純に思った」
 中村はその後、障害者が仕事を持って自立することが必要との信念に至り、40年に出身地の大分県別府市で「太陽の家」を創設。オムロンやソニー、三菱商事など日本を代表する大企業と提携して共同出資会社をつくり、多くの障害者を雇用した。
 「医者としての腕はもちろん、経済人としての才能がすごくあった。障害者支援というより、障害者が主役となる組織をつくるところに重点を置いた人の話で、医療ものというより経済ドラマのようだった」
 ドラマの柱に据えられ、中村の原動力でもあったのが、イギリスで指導を受けたグットマン博士の「失ったものを数えるな。残っているものを最大限に生かせ」という言葉だ。足は動かなくなっても車いすの車輪を回す手があれば、前に進める-。「他に捉えようがないぐらいストレートな言葉。もう戻ってこないことをちゃんと理解した上で、今自分に残されているもので何ができるかを考えるということ。残酷な言葉だと思うと同時に、もうそれしかないなと腹をくくる言葉だと思う」
 25日で平成32(2020)年の東京パラリンピックまでちょうど2年の節目となる。「『あ、こういう人がいたんだな。じゃあ今のパラリンピックはどういうふうにやってるんだろう』とか。選手じゃなく、選手の後ろからの視点で作られた裏方の話のドラマなので、また一つ注目してもらい、もっと深く大会自体を楽しめる起爆剤になればいい」(文化部 大塚創造)
 ●NHK総合 8月22日午後10時
 むかい・おさむ 昭和57年生まれ。神奈川県出身。明治大学農学部生命科学科卒後、バーテンダーを経て平成18年に俳優としてデビュー。これまでに、ドラマ「のだめカンタービレ」(フジテレビ)や「ゲゲゲの女房」(NHK)、「きみが心に棲みついた」(TBS)などに出演。ドラマのほかにも、映画や舞台、CMに数多く出演している。趣味はお酒と料理、特技はサッカー。