【外交安保取材】自衛隊の知られざる災害派遣活動 豪雨でフル回転 地元から感謝の声続々 - 産経ニュース

【外交安保取材】自衛隊の知られざる災害派遣活動 豪雨でフル回転 地元から感謝の声続々

復旧作業に勤しむ自衛隊員=7月20日、岡山県倉敷市真備町(鳥越瑞絵撮影)
重機を投入し土砂を掻き出しながら、行方不明者を捜索する自衛隊や消防。捜索は12日日没後も安全を確保しながら行われる=12日午後、広島市安芸区(鴨川一也撮影)
厳しい暑さの中、土砂を運ぶ自衛隊員=25日午後、広島県呉市天応地区
 7月13日、気温34度を超す猛暑の中、陸上自衛隊の第13旅団司令部付隊(海田市駐屯地=広島県)は、西日本豪雨に見舞われた広島県呉市内の小学校で給水支援に当たっていた。その様子を、小学校低学年くらいの女子児童と、母親と思われる女性が少し離れた場所から眺めていた。
(8月9日にアップされた記事を再掲載しています)
 「暑いのに何をしているのだろう」
 活動中の隊員は疑問に思ったが、給水を希望する被災者への対応を優先した。しばらくして給水希望の人波が途絶えると、2人が隊員に近寄ってきた。
 「これ…」
 女子児童が恥ずかしそうに差し出してきた筒状の画用紙を広げてみると、ちぎり絵で「ありがとう」。聞くと、豪雨被害で気持ちが落ち込んでいたが、自衛隊が必死にがんばる姿を見て励まされ、ちぎり絵を贈ることにしたという。しばらく様子を眺めていたのは、支援活動の邪魔になってはいけないという配慮からだった。
 「2人とも被災して大変なときなのに」
 隊員は被災者への支援活動への決意を新たにした。
 西日本豪雨の発生を受け、自衛隊には1府7県から派遣要請が寄せられ、大雨災害としては過去最大規模の態勢で救援救助に当たってきた。全国約150の陸海空3自衛隊の部隊から、最大3万人以上を投入。元自衛官で民間企業などに勤める「即応予備自衛官」約300人も招集し、広島を中心に生活支援を展開した。即応予備自衛官の招集は平成23年の東日本大震災、28年の熊本地震に続き3回目で、大雨災害では初めてだった。
 防衛省によると、8月5日までに自衛隊が救助した孤立者は約2300人、給水支援約1万9千トン、給食支援約2万食、入浴支援約8万6千人に上る。燃料や水などの物資輸送、がれき処理、道路啓開、水防活動なども実施している。
 猛暑の中での支援活動なだけに、熱中症にかかる隊員が続出するなど、屈強な自衛隊も無傷では済まなかった。それでも、災害派遣は国防と同様、自衛隊に課された重要な任務でもある。短時間での交代制を敷くなどの工夫で乗り切っている。
 こうした自衛隊の活動が報道される機会は限定的だが、支援を受けた被災者からは感謝の声が続々と届いている。現場の災害派遣部隊から届いたエピソードの一部を紹介する。
 ▽「通信機材の点検のため倉敷市役所を訪れたところ、10歳くらいのお子さんから笑顔で敬礼を受ける。お母さんから『本当にありがとうございました』との言葉をいただいた。活動を実施する上での活力となった」(陸自第3通信大隊)
 ▽「避難所の衛生状態の改善のため、防疫活動を実施していた。その際、高齢の女性が孫に対して『この人たちに助けてもらったんだよ。お礼をいいましょう』といって、隊員に対して『ありがとうございます!』と言ってくれた」(陸自広域防疫隊)
 ▽「給水活動の際『毎日水をもらいに来ています。水が出ない日々なので大変助かってます』とお話いただいた。逆に私自身が元気づけられた」(空自西部航空方面隊司令部)
 また、入浴支援の利用者が書き残したノートの寄せ書きには、率直な感想が記されている。
 ▽「至れり尽くせりの風呂で、神に仏です」
 ▽「あったかい風呂、うれしかったです。初めて被災して不安な気持ちでしたが、ここへ来てほっとしました」
 ▽「こんなことになって初めて自衛隊の方の大切さ、すごさがわかりました」
 ▽「今日ほど自衛隊に感謝の気持ちを感じたことはありません」
 ▽「明日からも作業がありますが、近くにお風呂があると思うだけでがんばれます。自衛官の方の笑顔にとても癒やされました」
 ▽「明日への活力になります。六甲の湯、最高!」
 ▽「お風呂に入っているときだけは家のことを忘れています」
 ▽「被災期間で『自衛隊の風呂に行く』というのが数少ない楽しみの一つでした。いつか何かの形で必ず恩返ししたいと思っています」
 西日本豪雨の発生から1カ月が過ぎた。規模を縮小しつつ自衛隊は現在も支援活動を続けている。 (政治部 石鍋圭)