【平成の証言】「さあゲームの始まりです 愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ」(9年2月~7月) - 産経ニュース

【平成の証言】「さあゲームの始まりです 愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ」(9年2月~7月)

神戸児童連続殺傷事件で、男児の遺体の一部が発見された現場(奥の柵の中)に続く道=平成15年5月撮影
 31年4月30日の終わりに向けてカウントダウンが始まった平成時代。私たちが受け止め、発した言葉は時代の証言となって「あのとき」をよみがえらせます。「平成の証言」を、元年からひと月刻みで振り返ります。
平成9年2月
 「もしや、うちの娘もと思った。交通事故にでも巻き込まれたと考えていましたが、死亡宣告はせず、希望を持ち続けてきました」(横田滋さん)
 3日、本紙は「『20年前、13歳少女拉致』北朝鮮亡命工作員証言 新潟の失跡事件と酷似」の見出しで、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致された疑いがあることを初めて報じた。父、滋さんが語った「もしや」とは、本紙が昭和55年1月に報じた「アベック連続蒸発事件」の記事を見た両親の直感だった。
 7日、政府は6件9人の拉致被害者を認める初の答弁書を閣議決定。拉致問題がついに顕在化する。
9年3月
 「出かけに家族から『最後だから気をつけてね』と言われ、胸がいっぱいになった」(三井三池炭鉱に入坑する村上雄市さん)
 明治時代の富国強兵政策や、戦後の経済復興をエネルギー供給面で支えた三井三池炭鉱(福岡県、熊本県)が30日、120年余りの歴史に幕を閉じた。
 明治6年に官営事業化され、22年に三井家に払い下げられた三池炭鉱。昭和38年には死者458人の炭塵(たんじん)爆発事故も起きた。生産量のピークは45年度の657万トンで、石油、原子力への転換と安い海外炭に押され、最後は3分の1にまで落ち込んでいた。
9月4月
 「計算が細かくて、頭の中がパニック。大変だけど、やるしかない」(JR東京駅の売店で働く女性)
 駅売店の女性が慌てていたのは、消費税率が従来の3%から5%に引き上げられた1日午前のこと。ただ、レジ機の設定が午前0時に一斉に変わったスーパーやコンビニでは大きな混乱はなく、元年の消費税導入当時のような反発も少なかったようだ。
 同じ日に、ごみの分別、収集、再生を義務づける容器包装リサイクル法が施行。都内の地下鉄のゴミ箱が、地下鉄サリン事件以来2年ぶりに復活した。
9年5月
 「さあゲームの始まりです 愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ」(被害者の遺体に添えられた挑戦状から)
 27日朝、神戸市立友が丘中の正門前で子供の遺体の一部が発見された。24日から行方不明になっていた同市須磨区の小学6年、土師(はせ)淳君=当時(11)=で、「酒鬼薔薇(さかきばら)聖斗(せいと)」を名乗る挑戦状が添えられていた。猟奇的な事件は社会を震撼(しんかん)させた。
 同区では2~3月にも1人が死亡、3人が重軽傷を負う連続通り魔事件が発生。6月、兵庫県警が逮捕したのは、同中に在籍する14歳の少年だった。
9年6月
 「これまで、海外に“新しい命”を求めた人たちも、国内で移植が可能になる。感無量だ」(臓器移植法案を提出した中山太郎元外相)
 脳死者の心臓や肝臓などの移植を可能とする臓器移植法が17日、衆院本会議で可決された。脳死移植を認めた脳死臨調の答申から5年。議員立法で提出された案が4月に衆院で可決、参院で「『移植に限って』脳死を人の死とする」と修正された上で可決され、衆院に回付されるという経緯をたどった。
 初の脳死移植は11年2月、高知県の40代女性の提供で実施。15歳未満は21年の法改正で可能となる。
9年7月
 「少年の顔を報道することで、事件の不可解さを読者に考えてもらいたかった」(新潮社「フォーカス」の田島一昌編集長)
 神戸連続児童殺傷事件で、前月に逮捕された少年(14)の顔写真を「フォーカス」が掲載し、「週刊新潮」も目線を隠した顔写真を載せた。これに対し、神戸弁護士会は「少年法の趣旨に反する」として新潮社に発売中止を申し入れ、東京法務局は両誌の回収を勧告。書店でも販売中止が相次ぐ一方、「米英なら公表される」「少年の人権擁護が犯罪を増大させている」などと賛否両論が巻き起こった。