【大人の遠足】輸出額の6割を占める「楽器の街」浜松 2000万円のグランドピアノなどマニア垂涎のミュージアムも - 産経ニュース

【大人の遠足】輸出額の6割を占める「楽器の街」浜松 2000万円のグランドピアノなどマニア垂涎のミュージアムも

吹奏楽のオーケストラができるほどの管楽器が展示できるのはヤマハならでは=浜松市中区
世界屈指のアジア楽器コレクションを誇る浜松市楽器博物館=浜松市中区中央
 楽器輸出額(推計値)で全国の6割を占める国内最大の「楽器の街」がある。大手メーカーのヤマハ、河合楽器製作所、ローランドが本社を置き、企業ミュージアムなどが市内に集まる浜松市だ。さまざまな楽器の魅力を体感でき、JR浜松駅に降り立つと、コンコースで大型のグランドピアノや鍵盤ハーモニカが迎えてくれる。
大手メーカーが本社
 そもそも浜松での楽器製造は、ヤマハの前身「日本楽器製造」が明治30年にこの地で誕生したことに始まると伝わる。医療機器の修理工だった創業者の山葉寅楠(とらくす)が、腕を見込まれて小学校のオルガンを修理したことをきっかけに楽器製造に興味を持ち、同社を立ち上げた。以来浜松には楽器製作の技術者が全国から集結し、一大生産地となったという。
 そのヤマハ(本社・同市中区)が先月、同社初の試みとなる企業ミュージアム「イノベーションロード」をオープンさせた。1500平方メートルの広大なスペースを確保し、時価2000万円とされるべーゼンドルファー社のグランドピアノや名ギタリスト、カルロス・サンタナが愛用したエレキギターの名器など、マニア垂涎(すいぜん)の逸品がずらりと並ぶ。
 12のコーナーに常時約800アイテムが展示され、高価なものや貴重品を含めて大半は自由に演奏できるとあって「お好きな方は、見て、触れて、弾いて一日中過ごせるでしょうね」と奥村暢朗館長は胸を張る。同社の歩みを振り返りつつ、弦楽器や管楽器、鍵盤楽器とあらゆる楽器を眺めて手に取り奏でながら、「楽器の街・浜松」の歴史と現在を体感できる。
アジア最大級の規模
 浜松ならではの施設として、平成7年に国内初の公立楽器博物館として誕生した「浜松市楽器博物館」も外せない。楽器だけで3300点、関連資料を合わせれば約1万点というアジア最大級の規模を誇る。
 中でも圧巻は民族楽器のコレクション。「西洋楽器と民族楽器を区別しない」をモットーに、先住民が流木や動物の皮で自作した素朴な楽器から職人が匠(たくみ)の技を駆使して製作した芸術品まで、音が出るものはすべてが収集の対象だとか。インドネシアのガムランは30種類約50台がそろい、国内に3台しかないバヌアツのタムタムや小学校の教科書に掲載されているモンゴルの馬頭琴など、世界各地の珍しい民族楽器が一堂に集められている。
 さらに、同館と回廊でつながる複合施設「アクトシティ浜松」は、恩田陸の直木賞受賞作「蜜蜂と遠雷」のモチーフとなった「浜松国際ピアノコンクール」の舞台であり、若手ピアニストのあこがれの地。プロアマを問わず毎日のように演奏会が開かれており、ふらりと足を運んでみると新たな音楽との邂逅(かいこう)があるかもしれない。(静岡支局 田中万紀)
 ヤマハ「イノベーションロード」 浜松市中区中沢町10の1。遠州鉄道八幡駅から徒歩2分。事前予約制、無料。午前9時半~午後5時。日・月曜、祝日休館。(電)053・460・2010。
 浜松市楽器博物館 浜松市中区中央3の9の1。JR浜松駅から徒歩10分。午前9時半~午後5時。第2・4水曜休館(8月無休)。入館料は大人800円、高校生400円、中学生以下と70歳以上は無料。(電)053・451・1128。