ソニーのホームシアター向け「サウンドバー」 記者が「その場」にいるような臨場感と迫力を体感

経済インサイド
ソニーのホームシアター向けサウンドバーの音響イメージ

 ソニーが6月に発売したテレビに接続して楽しむ家庭用ホームシアター向けサウンドバー「HT-Z9F」(税別8万円前後)と「HT-X9000F」(同6万円前後)の売れ行きが好調だ。臨場感ある音響で映画や音楽の映像を楽しみたいファミリー層のニーズを取り込んだためだ。ソニーのオーディオ開発拠点である東京・大崎の試聴室でシステムの音響レベルを記者が体感してみた。

 実際に試したのはHT-Z9F。「バータイプ」と呼ばれるテレビの前に置くタイプだ。映画館で使われる最新音声フォーマット「ドルビーアトモス」「DTS:X」に対応し、臨場感のある立体的な音響が楽しめるという触れ込みの最新システムだ。

 普段、音響に全くといっていいほどこだわらない暮らしをしている記者が、そのレベルを体験するためにソニーから視聴を勧められたのが平成27年に公開された映画「エベレスト」。エベレストで実際に起きた大量遭難事故を題材にした映画で、世界最高峰の頂きを目指す中で繰り広げられる過酷な人間ドラマが描かれている。記者が見たのは数分だが、音響システムをオンにすると、通常のテレビのスピーカーでは聞こえない雪の微細な粒が服に当たる音まで鼓膜に響きわたる。雷鳴や地鳴り、激しい風雪の音が前後左右から体を包み込み、まるでその場にいるかのようだ。

 映画はもう1本視聴を勧められた。リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」だ。大学時代に英語の授業の教材として何度も見た作品だが、改めてサウンドバーにつないで視聴すると、当時、自宅のテレビで見ていた印象とは迫力が違った。映画に登場する空飛ぶタクシーが画面の前方から後方に飛び去るシーンでは、音だけでも画面を飛び去っていくのがよく分かる。主演のハリソン・フォードの声も自宅のテレビよりダンディーに聞こえるから不思議だ。

 音楽も聴いてみた。英国の人気歌手アデルさんの楽曲だ。コンサートホールでの映像で、通常のテレビだと平坦(へいたん)な音声が、さながらホールにいるかのように感じられ、アデルさんの歌声にも圧倒された。

 スポーツも視聴。サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会「日本対セネガル戦」の乾貴士選手のゴールシーンだ。1点を追う前半34分、柴崎岳選手が、左を駆け上がった長友佑都選手へロングパスを通し、乾選手の同点弾の起点になった場面。シュートを決めた瞬間の観客の歓声やどよめきが、会場にいるかのような臨場感で迫ってきた。

 ソニーによれば、こうした音響性能を引き出したのは同社独自のサラウンドシステムの存在。前後左右に高さ方向の表現力を演出できるという。ソニーによると、国内のホームシアタースピーカー市場は年間20万台規模で安定推移。2020年東京五輪・パラリンピックを控えて、テレビ需要の高まりとともにホームシアタースピーカー市場の拡大が予想されており、国内シェア3割程度で、ヤマハと首位を競うソニーは今回のシステムなどをテコに、一段の拡販を狙う。(経済本部 今井裕治)

 サウンドバー 横長の棒状の音響機器で、薄型テレビの画面下などに設置しやすい。スピーカーや重低音用のサブウーファーを内蔵しており、家庭で映画館のようなサウンドを体験できるのが特徴。ソニーによると国内市場は約20万台程度。ソニーとヤマハがシェア首位を争う。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、販売の拡大が見込まれている。