「この世界の片隅に」松本穂香

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TBS系ドラマ「この世界の片隅に」主演の女優、松本穂香(宮川浩和撮影)

「日常のかけがえのなさを感じる」

 15日は終戦記念日。広島と呉を舞台に、戦時中を明るく生きた女性、すずを演じる。主役はオーディションで勝ち取った。脚本は、青天目(なばため)澄子役で出演した「ひよっこ」の岡田惠和(よしかず)。「ご縁を感じた」と笑う。

 「すごくすてきな役と感じ、本当にやりたいと思えた作品」といい、「すずはボーッとしているとみられがちだけど、実は芯がある。何に対してもまっすぐに向き合うところはいつも意識しています」と話す。

 最近は「陸王」や「ブラックペアン」といった話題作が続く「日曜劇場」の主演に、「見たことのない景色。プレッシャーもあったけど、ワクワクもあった」と話すあたり、その芯の強さは、すずに通ずる部分がある。

 ドラマでは広島弁が飛び交う。自身は大阪府出身だが、「関西弁とも違うし、イントネーションの難しさがある」と打ち明ける。それでも「撮影の合間に広島弁で話したり、すごく広島弁になじむような環境になっているのが大きいかな」と、徐々に慣れてきたようだ。

 現場は笑顔が絶えない。劇中では夫、北條周作(松坂桃李)の姉、黒村径子(けいこ)(尾野真千子)にきつく当たられるシーンも多いが、「径子さんの娘の晴美役の(稲垣)来泉(くるみ)ちゃんが、芝居の合間にも『お母ちゃん』と尾野さんを呼んで、本当の母子のよう。みんなが笑顔になる来泉ちゃんの存在は大きいですね」と笑う。

 ロケも行った広島や岡山では「みんなとても温かかった。ドラマを楽しみにしてくれている雰囲気が伝わってきた」という。特に舞台の広島では、高視聴率を獲得している。

 自身は「器用じゃない」という。そうした中で、「『このシーンの後は、周作さんをもっと大事に思う思いも濃くなる』などと考えながら演じている」と明かす。「役と一緒に成長できているんじゃないかなと思うこともある」という。

 「撮影を通じて、普通の幸せ、日常のかけがえのなさをひしひしと感じています。今はいろんなものに恵まれているけど、大事なものを見失っているかもしれない。日常のかけがえのなさを伝えていけたら」と言葉に込めた熱は、今夏の暑さにも決して負けていないようだ。(文化部 兼松康)

 ●TBS系 毎週日曜午後9時

 まつもと・ほのか 平成9年生まれ。大阪府出身。高校在学中に所属事務所のオーディションに合格して芸能界入りし、主演ショートムービーで女優デビュー。ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「ひよっこ」のほか、映画や舞台など幅広く活躍。今秋公開予定の映画「あの頃、君を追いかけた」にも出演。auのCM「意識高すぎ!高杉くん」シリーズでもおなじみ。