千葉・柏の銀行員妻殺人、行員紹介までされた“エリート”に何があったのか

衝撃事件の核心
弥谷麻衣子さんの遺体が見つかった恵美容疑者の自宅=茨城県取手市(橘川玲奈撮影)

 茨城県取手市の民家から千葉県柏市の無職、弥谷麻衣子さん(30)の遺体が発見された事件で殺人と死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、夫で元銀行員の鷹仁容疑者(36)と、鷹仁容疑者の母親でこの家に住む恵美容疑者(63)だった。鷹仁容疑者は、逮捕直前に務めていた銀行では、新卒採用ホームページの行員紹介で取り上げられるほどの“エリート街道”を歩み、母親は会社経営者。2人に何があったのか。

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 両容疑者の逮捕容疑は、共謀の上、3月4日に柏市内の路上に停車した車内で、鷹仁容疑者が麻衣子さんの首を絞めるなどして殺害。その後、2人で恵美容疑者の住む茨城県取手市の民家の敷地内に麻衣子さんの遺体を埋めたとしている。

 事件は3月6日、鷹仁容疑者が「車で出かけていた途中で妻と口論になり、我孫子市内のコンビニエンスストアで降りてしまった。その後消息がつかめない」との行方不明届を千葉県警に提出したことから始まった。県警は鷹仁容疑者の届け出を元に、周囲の防犯カメラの映像を確認するなどの捜査を進めたが、捜査関係者によると「奥さんが映っているはずの場所にまったく人影がなかった」などと不自然な点が多いことが、捜査を進める内に徐々に発覚してきたという。

 不審な点が多かったことから県警は7月、2人を任意同行して事情聴取を実施。その中で鷹仁容疑者が麻衣子さん殺害を認める供述を始め、県警は供述を元に鷹仁容疑者の実家で、恵美容疑者の自宅に家宅捜索を実施したところ麻衣子さんの遺体を発見。2人は逮捕された。

 将来を期待される行員として順風満帆だった鷹仁容疑者と、順調に会社を経営している恵美容疑者の母子は、周囲からみれば「エリート一家」。それだけに突然の凶行に及んだことに恵美容疑者の自宅付近の住民にも衝撃が走った。60代の主婦は「(恵美容疑者は)すらっとしたきれいな人。そんなことをする人とは思えない」と驚きを隠せない様子。たびたび鷹仁容疑者と麻衣子さんの夫婦が恵美容疑者宅に子供を連れて来る姿も目撃されており、夫婦が不仲には見えなかったという。

 捜査関係者によると、鷹仁容疑者は県警の調べに対し「妻の看病などで夫婦生活に限界が来ていた」と供述。恵美容疑者に殺害の数カ月前から携帯で相談しており、その中で麻衣子さん殺害の話が持ち上がったという。2人は他の家族がいない時間を見計らい、実家に麻衣子さんの遺体を埋めるための穴を掘るなど計画的に犯行に及んでいたと県警はみている。

 鷹仁容疑者はいずれの容疑も認めているが、恵美容疑者は「息子が苦しんでいたので助けてあげたかった」などと供述する反面、「息子が本当に麻衣子さんを殺すとは思わなかった」と殺人容疑については否認しているという。

 夫婦間のトラブルが妻の殺害・死体遺棄に至るまで母親を頼った息子と、息子を制止せず、あまつさえ事件の手助けをした母親。母子間のゆがんだ繋がりは、決して「愛情」とはいえない。県警は今後、事件の詳細な経緯を調べる方針だ。