【経済インサイド】個人向けカーリース活況 「若者の車離れ」にブレーキかかるか - 産経ニュース

【経済インサイド】個人向けカーリース活況 「若者の車離れ」にブレーキかかるか

オリックス自動車の販売拠点でリースの商談をするスタッフ=川崎市(同社提供)
オリックス自動車の販売拠点でリースの説明を受ける来店客=川崎市(同社提供)
 マイカー所有にこだわらない消費者の増加を追い風に、毎月定額の料金を支払うことで好きな車に乗れる「個人向けカーリース」市場が活気づいている。リース会社や自動車ディーラーなどが商品力や販売態勢を強化した結果、徐々に認知度が高まってきたからだ。国内新車市場が頭打ちとなる中、リースは「若者のクルマ離れ」に歯止めをかける可能性を秘めている。
 「日常の足として使えれば十分。子育てにかかる費用負担もあり、月々の出費を抑えたい」。そんな理由で、東京都国立市に住む福祉施設職員の米山こずえさん(47)はオリックス自動車(東京都港区)のカーリースを昨春から利用している。
 9年契約で借りたのは、日産自動車の軽自動車「デイズルークス」の新車。同武蔵村山市の職場に約30分かけて車で通う米山さんにとってマイカーは生活必需品だが、こだわるのは燃費性能のみ。インターネットで申し込める気軽さも大きな魅力だったという。
 まとまった出費を避けたいという思いも強かった。頭金はゼロ。月額約1万8000円のリース料だけで乗り続けられ、そこに毎年の自動車税や3年後の車検費用などが含まれる。7年たったら別の新車への乗り換えや返却も可能だ。米山さんの薦めで娘もカーリースを利用している。
 日本自動車リース協会連合会(JALA)によると、個人向けカーリースの保有台数は平成26年度末時点の15万2857台から4年連続で増加し、29年度末には過去最高の25万6936台に達した。
 JALAは「スマートフォンの感覚で車を気軽に使用したい消費者が増えている」と市場拡大への手応えをつかむ。「売り方」を工夫したリース商品の増加も個人需要の喚起に結びついた。
 既にオリックス自は、男性中心だった個人向けカーリースの裾野を広げようと、女性の生活シーンに応じてリース車の魅力を伝える通信販売サイトを開設。8月中には、全国の販売代理店のリース担当者を支援しようと、商品説明や受注機能を備えたタブレット端末を配布する計画だ。リース営業本部の笹野雄路リテール営業推進部長は「カーリースを専門的に説明できる販売員を増やしたい」と意気込む。
 東京都内に34店舗を構える日産系ディーラーの東京日産自動車販売(同品川区)の鼻息も荒い。同社は5年契約の個人向けカーリース商品「ポップ」を主軸に実績を拡大。今後も新車の買い方の一つとしてカーリースの拡充に取り組み、顧客囲い込みにつなげたい考えだ。
 ポップは、新車の車検を受けなければならない3年後のタイミングで別の新車に乗り換えられるのが最大の売りだ。同社が29年に販売した約1万台のうち、ポップは約4分の1を占めた。ポップで購入した顧客の約7割が3年で新車に乗り換えているという。
 車の電動化や自動化などをめぐる技術進化のスピードは速いだけに、3年周期の乗り換えは武器になる。同社営業支援部の山形大(やまがた・まさる)部長は「進化が著しい車に顧客が次々と乗り換えるサイクルを回したい。人口が減っても回転率が高まれば車業界は廃れない」と強調。リース料にメンテナンス費用も含まれるため、点検や修理を通じ顧客との接点を増やす効果も期待する。
 ただ、車の総保有台数に占めるリース車の比率(個人を含む)は4%台にとどまる。個人向けカーリースで商機拡大を狙う動きは、コスモ石油や総合リース大手である東京センチュリー系の日本カーソリューションズ(同千代田区)など多様な業種に広がってきたものの、消費者にはあまりメリットが知られていない。各社は「認知度の向上が課題」と口をそろえる。
 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会によると、新車販売は2年の510万台をピークに減少し、近年は400万台前後にとどまる。個人向けカーリースは難局打開の救世主となるか-。(経済本部 臼井慎太郎)
 カーリース リース会社が購入した車を長期契約で貸し出すサービスで、企業だけでなく個人の利用も増えている。リース契約終了後の車の価値(残価)をあらかじめ設定し、車両代から残価を差し引いた金額に税金や車検代などを上乗せしリース料を決める。「車を借りて使う」という点ではレンタカーやカーシェアリングと同じだが、決められた時間内に使用するなどの制約がない。契約期間中は専有できる。