【経済インサイド】大手住宅メーカーが「ロボット」「アシストスーツ」で作業員の負担を軽減! - 産経ニュース

【経済インサイド】大手住宅メーカーが「ロボット」「アシストスーツ」で作業員の負担を軽減!

積水ハウスが今年中に導入するアシストスーツを着用した、ビス打ちの様子=茨城県古河市
大和ハウス工業が実証実験したロボットによる耐火被覆材の吹き付け=東京都江東区
積水ハウスが平成32年の実用化を目指す、天井石膏ボード施工用のロボット=茨城県古河市
床材を運ぶ作業員。ロボットスーツの導入で腰への負担は最大で4割低減する=茨城県龍ケ崎市の大和ハウス工業竜ケ崎工場
 大手住宅メーカーが施工現場で、ロボットやアシストスーツを活用して作業負担の軽減化を図る取り組みを進めている。積水ハウスは年内にも、上を向く作業をしやすくするスーツを導入し、ロボットは平成32年に実用化する計画で「人とロボットの共生を目指す」(住友義則施工部長)。一方、大和ハウス工業は耐火被覆材の吹き付けをするロボットの本格導入を目指す。国土交通省によると建設業就業者の数は約492万人(平成28年)。9年に比べると約7割の水準だ。高齢化の進展によって、就業者の数が引き続き減少するのは必至。一連の取り組みは今後加速していくとみられる。
 積水ハウスは、サービス業で使用されるロボットで実績があるテムザック(福岡県宗像市)と共同で、ロボット開発を進めている。
 天井を覆う石膏(せっこう)ボードを貼り付ける作業は負担が大きい。1枚当たりの重さは約17キロに達し、これを持ち上げて上を向いたまま1枚に50本のビスを打ち込む必要があるからだ。
 工場の生産現場やゼネコン(総合建設会社)の建設現場では、大型で据え付けタイプの産業ロボットが活躍している。これに対して住宅の場合は、施工現場への搬入が簡単で機動力に秀でた、小型のサービスロボットが求められる。
 「積水ハウスからの注文に応えるのは、本当に難しかった」。テムザックの高本陽一社長はこう振り返る。さらなるスピードアップなど課題は残るが、施工現場での活用にめどが立った。
 ロボットには人工知能(AI)を搭載。石膏ボードの運搬・持ち上げを行うタイプと、ビス(ねじ)を打ち込んで固定するタイプの2台で構成される。住宅の設計情報などのデータが入ったタブレット端末で指示を送ると、ロボット同士でコミュニケーションを交わしながら、作業者との協調作業を進めていく。作業員の負担は最大で7割程度、削減できる。
 アシストスーツの「Ekso Vest(エクソ・ベスト)」は米国の企業が開発したもので、動力源は現場での充電が不要なガススプリング。積水ハウスとダイドー(大阪府河内長野市)が、日本人の体形に適した仕様へと改良を進めており、12月に実用化する計画だ。
 大和ハウスが開発したロボットは「ダイワロイネットホテル東京有明」(同)の施工現場で実証実験した。ロボットアームと走行・昇降台車を組み合わせたもので、鉄骨の柱やはりに、人の2倍以上のスピードで耐火被覆材のロックウール・モルタル(人造鉱物繊維)を吹き付けていく。ロックウールの吹き付けには通常3人を要するが、同ロボットを使えば2人での対応が可能。全体の工期は約20%削減できる。
 大和ハウスの現場では、耐火被覆吹き付け工事の作業員が最も逼迫(ひっぱく)しており、ロボットの早期実用化が望まれるが、本格導入に向けての課題が残っている。その一つが小型化だ。材料の一定量が床に散らばる点を踏まえると、いかに無駄を少なくするかということも重要な課題となる。
 また、同社はCYBERDINE(サイバーダイン)が開発・製造するロボットスーツを国内の全工場に本格導入した。腰への負担は最大で4割低減し、20キロの部材を取り扱った場合は12キロ程度の荷物を運んだような感覚になるという。これによって腰痛リスクの低減を図り、さらなる労働環境の改善につなげる。
 日本建設業連合会は、37年に建設技能労働者が約128万人不足すると指摘している。このため、90万人の若手確保を目標に総合的な処遇改善を進める▽生産性を高め、35万人の省人化を達成する-という2つの目標を掲げている。
 大手住宅メーカーでロボットの導入は、生産体制の効率化や省人化を推進する上で絶対条件となりつつある。(経済本部 伊藤俊祐)