【衝撃事件の核心】「俺の彼女盗撮したでしょ」と示談金要求 “劇団型”盗撮ブラックハンターの狡猾な手口 - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】「俺の彼女盗撮したでしょ」と示談金要求 “劇団型”盗撮ブラックハンターの狡猾な手口

「劇団型盗撮ブラックハンター」は若い女性が集まる場所に出没する盗撮犯をねらっていた=東京都渋谷区のJR原宿駅前
 女性を盗撮していた男性を脅して現金をだまし取ったとして7月、恐喝容疑で20代の男ら5人が警視庁に逮捕された。女性の「彼氏」「兄」「通行人」…。それぞれの「役」になりきる迫真の演技で相手を追い詰めて現金を脅しとる手口。捜査員から「劇団型盗撮ブラックハンター」と呼ばれていたグループは少なくとも30件近くの犯行に及び、被害総額は3千万円近くにのぼるとみられている。
「免許証画像をネットに上げる」
 「あなた、盗撮してたでしょ。ずっと見てましたよ」
 5月中旬、若い女性らでにぎわう土曜の東京・JR原宿駅前。携帯電話で女性の足を盗撮していた千葉県の会社員男性は、若い男の声にハッと顔を上げた。「今、やってたろ」。こちらをにらみつけている。
 「どうしました?」。男の声を聞いていたのか、通行人も近寄ってきた。男らは男性から携帯電話とカバンを取り上げると、近くの公園へと連れ出した。「あの子の彼氏に連絡する」。しばらくすると、公園に女性の「彼氏」を名乗る男が現れた。さらに、「兄」を名乗る人物も登場。「示談金は100万円くらいになりますけど」「あなたの免許証の画像をネットで上げたりできるけど、人生終わっちゃうでしょ」と動揺する男性にたたみ掛けた。
 男性は悩んだ末、警察に相談。後日、現金受け渡しの場所に現れた男2人を、警視庁が恐喝未遂容疑で現行犯逮捕した。
 警視庁のその後の捜査で、盗撮されていた女性以外の登場人物は通行人を含め全員、“劇団”の一味だったことが判明。7月11日、別の男性に対する恐喝容疑で計5人が逮捕された。
証拠画像を押さえていた
 犯行グループの手口は極めて巧妙だ。
 渋谷や新宿、テーマパークの最寄り駅やイベント会場など、若い女性が集まり、盗撮犯が出没しそうなスポットをマーク。盗撮直後に声をかけ、そこに善意の第三者を装った「通行人」も加勢するため、盗撮者は「騒ぎになっては困る」とパニック状態に陥る。女性の関係者や知人を名乗る人物らから次々と詰め寄られ、「自分から『示談します』と申し出てしまう人もいる」(捜査関係者)という。
 さらに狡(こう)猾(かつ)なのは、グループが盗撮の“証拠画像”を押さえているということだ。主犯格とみられる男のパソコンからは、示談書を両手に持って掲げる男性の写真や、女性が盗撮されている様子を離れた場所から撮影した動画など、約30件分が見つかった。警視庁はグループがこうした画像を切り札にして男性らを脅し、現金を脅し取っていたとみている。
恐喝受けた盗撮者も立件
 ちなみに、これらの画像はすべて本物とみられ、当然、実際に盗撮をしていた側もおとがめなしというわけにはいかない。警視庁はハンターらによる恐喝被害にあった男性らも、都迷惑防止条例違反(盗撮)容疑で書類送検する方針だ。だがもし、こうした処罰を恐れて被害を届け出ていなければ、ハンターらに個人情報や証拠画像を握られたまま、恐喝がいつまでも続いていた可能性もある。正直に届け出たのは、賢明な判断といえるだろう。
 盗撮は卑劣な犯罪行為だが、その証拠を押さえながら、警察に届け出ることなく、相手を脅して現金をゆすり取るというのはもってのほか。警視庁はグループによる被害の実態など、全容解明を進めている。