【スポーツ異聞】「ママでも復帰できる!」出産から復帰のS・ウィリアムズがウィンブルドン準優勝 世界中のお母さんにエール - 産経ニュース

【スポーツ異聞】「ママでも復帰できる!」出産から復帰のS・ウィリアムズがウィンブルドン準優勝 世界中のお母さんにエール

ウィンブルドン選手権女子シングルスの表彰式で歓声に応える準優勝のセリーナ・ウィリアムズ=ウィンブルドン(共同)
ウィンブルドン選手権女子シングルス決勝で敗れ、優勝したアンゲリク・ケルバーのインタビューを聞くセリーナ・ウィリアムズ=ウィンブルドン(共同)
ウィンブルドン選手権の女子シングルス決勝でプレーするセリーナ・ウィリアムズ=ウィンブルドン(共同)
 子供を出産した経験のある女性ならば、迫力に満ちた彼女の力強いプレーは信じ難かっただろう。テニスの四大大会、ウィンブルドン選手権で準優勝に輝いた36歳のセリーナ・ウィリアムズ(米国)は、昨年9月に女児を出産したばかりの体で、初戦から決勝まで計7試合に及ぶ激闘を戦い抜いた。
 もともと強靭(きようじん)な肉体の持ち主。身長175センチから繰り出す男性顔負けのパワープレーで、数々のタイトルを手にしてきた元世界ランキング1位は「生きる伝説」と称されている。
 2017年1月の全豪オープンで、四大大会で23勝目となる優勝を果たした。プロ選手の出場を解禁した1968年のオープン化以降の四大大会で単独最多の優勝記録をマークし、自身が持つ最年長優勝記録を塗り替えてもなお、「私はまだまだ進んでいく」と宣言していた。
 妊娠を発表したのは、その3カ月後。代理人を通じて、残りの試合を休養して18年の復帰を目指すことを明らかにした。
 17年9月1日に女児を出産したセリーナだが、疲労困憊(こんぱい)の体に追い打ちをかけるように、肺の血栓症を患った。命の危険にさらされ、緊急手術を受けたことを「人生最大の恐怖だった」と振り返っている。
 私も昨年6月、36歳で出産した。子を宿した妊娠中はどうしても運動不足になった。さらに産後も、体力回復のために比較的寝て過ごすことが多くなり、筋力の低下や体重の変動も避けられなかった。
 テニスは炎天下の中、試合時間が3~4時間に及ぶこともある過酷なスポーツ。しかし、強靱な精神力で病にも打ち勝ったセリーナは引退を考えなかったようだ。ロイター通信は今年3月上旬、コーチの見解として「彼女がツアー復帰を果たすことがキャリア最大の挑戦になる」と報じた。
 実際にセリーナは3月にツアー復帰。身体能力を取り戻すため、限られた時間の中で、どれほどの努力を重ねただろう。同月のマイアミ・オープン1回戦で大坂なおみ(日清食品)に敗れたが、短期間で技術面も修正。4大大会復帰戦となった5月の全仏オープンでは、4回戦を腹筋の痛みで棄権するまでコートに立った。
 そしてウィンブルドン選手権の決勝に、元女王は戻ってきた。最後はアンゲリク・ケルバー(ドイツ)に敗れたものの、「世界中のお母さんに、ママになっても復帰はできることを伝えたい」と胸を張った。
 さらに大会中は、こうも話していた。「私には(娘の)オリンピアがいる」-。セリーナは、唯一無二の子供の存在が、どんな困難でも乗り越えるパワーになることを証明してくれている。(運動部 西沢綾里)