受注相談は「グレーゾーン」 建設関係者が釈明する青梅市発注工事談合の実態

衝撃事件の核心
談合の舞台となった道路工事の現場=7月4日、東京都青梅市(安里洋輔撮影)

 「譲り合い」「根回し」…。日本人とは切っても切り離せないこうした文化も、こと税金の使われ方となれば、公正さが何よりも守られるべきだろう。7月5日、東京都青梅市が発注した工事の受注をめぐり、他の業者と談合して受注したとして、建設会社代表の男が警視庁捜査2課に逮捕された。男は、地元の業界団体の会長を10年にわたって務め、市と建設業者をつなぐ“重鎮”だった。

「うちでやりたい」

 平成29年4月上旬以降、青梅市周辺の建設会社社長や営業担当者らの電話が次々と鳴った。

 関係者によると、電話をかけたとされる青梅市の建設会社「酒井組」代表、酒井政修(まさみち)容疑者(62)は青梅市が4月21日に指名競争入札を行う道路脇の壁を設置する工事について「うちで取りたいから協力してほしい」「この案件、うちで受注したい」などと依頼。談合をまとめ上げたといい、7月5日、酒井容疑者は公契約関係競売入札妨害容疑で警視庁捜査2課に逮捕された。

 工事の予定価格は1億518万1200円(税抜き9739万円)で、酒井組のほか、青梅市内を中心とした建設会社でつくる「青梅建設業協会」の会員のうち4社が入札に参加し、酒井組は落札率99・6%にあたる9700万円で落札した。他の4社は予定価格と全く同じ金額で入札し、入札するとみられていた2社が不参加だった。

 捜査関係者によると、今回事件になった工事では、酒井容疑者が協会の会合の席で1社に「頼むぞ」と依頼したほかは、基本的に個別に電話して依頼していたという。

 酒井容疑者は10年間にわたり、この青梅建設業協会の会長を務めている。捜査2課は、協会を舞台に談合が常態化していた可能性もあるとみて捜査している。

多数の工事を落札

 関係者によると、酒井組は明治時代から約120年にわたり、建設業を営んできたという。

 酒井組が入札で受注した市の1千万円以上の工事は、平成30年度1件、29年度3件、28年度1件、27年度4件と合計9件あったが、このうち5件で落札率が99%を超えていた。関係者によると、予定価格は事前に公表されているというが、その場合、入札額を低く抑えた社が落札できることになるため、99%を超える落札率は異常な高さだという。

 集中した工事の落札は酒井組だけではない。青梅建設業協会には25社が加入しているが、関係者によると、市が発注する大型工事のほとんどを協会員で落札しており、協会が事実上独占している状態にある。

「グレーゾーン」

 談合に参加したとされるある建設会社社長は「談合をしたという認識はない」と疑惑を否定する。「社長になってから7~8年たつが、そうしたものは一切認めていない。談合ありきで勝手なストーリーを作られていて迷惑」と憤る。

 ただ、談合は認めないものの、事前の相談について重い口を開く協会員もいる。別の建設会社社長は「あくまで一般論」と前置きした上で、「グレーゾーンとして『あの工事はうちでやりたい』という情報交換をすることは実態としてある」と明かす。ただ、「そこで受注する社が決まるわけではなく、何社ぐらいが興味を示しているか事前に知りたい、というだけのことだ」と釈明する。

 そうしたやりとりも、どこかで一堂に会してするわけではなく、個別に連絡を取って意思確認をするという。酒井容疑者は個別に電話で談合を依頼していたといい、こうした意思確認が談合につながっていった可能性もある。

 今回の談合は予定価格が公表されているため、市側が関与しな

くても成立する。しかし、高落札率が相次いでいる状況を疑問視する声もあり、捜査2課は市側の対応が適切だったかなどを含め、慎重に調べているもようだ。