原始人がサッカー対決する粘土アニメの新作「アーリーマン」 「FIFA批判でもEU離脱の暗喩でもない」とニック・パーク監督 - 産経ニュース

原始人がサッカー対決する粘土アニメの新作「アーリーマン」 「FIFA批判でもEU離脱の暗喩でもない」とニック・パーク監督

「アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!」のニック・パーク監督。手にしているのは主人公ダグの人形
「アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!」の一場面
「アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!」に登場する青銅器時代の暴君ヌース(左)
「アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!」のニック・パーク監督
 クレイ(粘土)・アニメの大家で、世界中で愛されている「ウォレスとグルミット」「ひつじのショーン」シリーズを共同監督してきた英国人のニック・パーク監督(59)が、初めて単独で取り組んだ新作「アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!」が6日に公開される。石器時代と青銅器時代の原始人たちがサッカー対決するという奇想天外なストーリー。8年かけて完成させた自信作についてニック監督は「素晴らしいアイデアの稲妻に打たれて突っ走った」と語る。
 サッカーのW杯ロシア大会開催に沸くいまの時期にぴったりな作品だ。主人公は先史時代を生きる15歳の少年ダグ。文明の栄えた青銅器時代の暴君ヌースに侵攻された石器時代のダグたち部族はサッカーチームを結成、故郷を取り戻すため特訓に励む。先史時代を舞台にしたのはなぜなのか。ニック監督は「クレイ・アニメに適した題材なんだ」と語る。
 「“泥臭さ”が粘土とまずマッチする。顔つきも喜劇的に作れるしね。原始人の冒険、という物語だけではつまらないので、イギリスらしさやオフビート(常識はずれ)感が出せるストーリーを考えていくなかで、原始人がボールを蹴っている姿を思い浮かべた。先史時代の弱者たちのスポ根系映画って今までないしね。それにサッカーはボールを蹴り合うために武器を置かないといけないという文明的なところも魅力だった」
 青銅器時代の部族には洗練されたサッカーチームがあり、暴君ヌースは試合開催のたびに庶民から多額の収益を巻き上げている。ニック監督は「彼らはサッカー自体より収益の方が大事。国際サッカー連盟(FIFA)を反映しているんだ」とほほ笑む。汚職スキャンダルに見舞われているFIFAは、5選を果たしたゼップ・ブラッター前会長(82)に2015年、活動停止処分が下される事態になった。「ただFIFAへの批判というよりはお金への執着、それが汚職を招くといった普遍的な物語にしたつもりだ」
 また、宿敵ヌースがフランスなまりの英語を話すことから、英国のEU離脱を重ねてみる人もいるようだ。「この映画の“反フランス”的なところはブレクジット(英国のEU離脱)のメッセージなのかと言われたけど、そういうつもりはないよ」と迷惑そうに否定したのが印象的だった。
 “深読み”しないで鑑賞するのが正しい楽しみ方のようだ。(WEB編集チーム 伊藤徳裕)