【衝撃事件の核心】違法賭博店に鉄製の「隠し扉」と見張り役 巧みな摘発逃れ、焦点は売上金の行方 - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】違法賭博店に鉄製の「隠し扉」と見張り役 巧みな摘発逃れ、焦点は売上金の行方

摘発されたバカラ賭博店の店内(警視庁提供)
摘発された違法パチスロ店の店内(警視庁提供))
 繁華街の一角でひそかに作り上げられていた違法賭博の巣窟に捜査のメスが入った。警視庁組織犯罪対策4課が6月、東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビルで営業していたバカラ賭博店を摘発した。隣には、違法なパチスロ機を設置する店もあり、2つの店は鉄製の「隠し扉」でつながっていた。見張り役をつけるなど、巧妙な偽装工作を行っていた店は「行列ができるほど」(捜査関係者)の盛況ぶりだったという。収益が指定暴力団の資金源となっていた可能性もあり、組対4課が背後関係を調べている。
巣窟は雑居ビル2階
 派手な電飾を明滅させるパチスロ機が所狭しと並ぶ薄暗い部屋。もう一方の部屋には、大きな2台のバカラ台を取り囲むように革張りの椅子が並ぶ-。組対4課の捜査員が6月、家宅捜索のために現場に踏み込んだ際に撮影された動画の一部だ。
 店内にあったパチスロ機は、通常よりも掛け率の高い「裏スロット」と呼ばれる違法なもので、トランプゲームの攻防をめぐって大金が動くバカラ賭博とともに、捜査当局の取り締まり対象になっている。
 組対4課によると、現場は、新宿区歌舞伎町の飲食店のテナントなどが入居する雑居ビル2階の2室。バカラ賭博店が「フラワー」、違法パチスロ店は「クランキー」という店名でそれぞれ営業していた。営業時間は午後9時ごろから翌日の午後1時ごろまで。酔客らが行き交う繁華街の一角が、「夜な夜な違法賭博の巣窟になっていた」(捜査関係者)という構図だ。
 組対4課が踏み込んだ時には、客の男女13人がプレー中で、客とともに店の責任者の49歳と31歳の男2人が常習賭博などの容疑で現行犯逮捕された。
 家宅捜索で違法パチスロ機43台、バカラ台2台のほか現金約68万円を押収。「盛り場対策」の一環として行われた捕り物によって、警察当局の監視の目をまぬがれようとする、店側の巧みな偽装工作の手口が明らかになった。
「隠し扉」と見張り役
 組対4課によると、2つの店は隣接してはいたが、個別に営業していた。それぞれ看板はなく、2つの扉をくぐらないと室内に入れない構造になっていた。店の外に見張り役を立て、客の出入りを監視。捜査員に踏み込まれるような事態を想定してか、2つの店内は鉄製の「隠し扉」で行き来できるようになっていた。
 周囲に察知されないよう工作を施した店には、ギャンブルの刺激を求めて集まる人々で活況を呈していた。「客層は多種多様。会社員のほか、仕事を終えてやってくるホステスやホストや、日本に定住する中国人のなじみ客もいたようだ」(捜査関係者)
 違法パチスロ店は約300人、バカラ賭博店は約200人の顧客を抱えており、「パチスロ店には開店前から行列ができ、整理券を配布するほど」(同)の盛況ぶりだったという。
 違法パチスロ店は平成29年6月上旬から、バカラ賭博店は同11月中旬から営業を始め、1カ月間で計約2千万円の売り上げがあったとみられる。
焦点は売上金の行方
 暴力団犯罪を扱う組対4課が特に問題視しているのは、店の売上金の行方だ。
 捜査関係者によると、店には、指定暴力団住吉会系の有力2次団体、幸平一家傘下の複数の組織が後見役として、いわゆる「ケツ持ち」の役割を担っていた形跡があり、売上金の一部が、この組織に上納されていた可能性があるという。
 各地の警察がみかじめ料の徴収を厳しく取り締まるなどした結果、暴力団の資金源は先細りつつあるとされる。その一方で、違法賭博の収益はいまだに暴力団の重要な資金源となっているという。
 捜査幹部は「違法賭博店の経営には暴力団が関与しているケースがほとんどで、今回摘発した2店も例外ではない」と指摘。今回の摘発の意義について「資金獲得の手段を断ち、暴力団の影響力を弱めることが治安維持にもつながるはずだ」と話している。