野党の参院選戦略見直し 立民は共産と距離? 新潟知事選「共闘」に限界

野党ウオッチ
6月19日、東京・JR荻窪駅前で街頭演説する立憲民主党の枝野幸男代表。今後、共産党などとの選挙戦略を見直すのか

 事実上の野党統一候補が敗れた10日の新潟県知事選の結果が野党各党の来年夏の参院選に向けた戦略に波紋を呼んでいる。主要野党が総力戦で臨んだにも関わらず、与党系候補に4万票近い差で敗れたことは、野党共闘の限界を露呈したともいえる。野党第一党の立憲民主党は参院選の改選1人区で候補者を一本化して共闘する必要性は認めながらも、地方選などによる党勢拡大を背景に独自色を強めつつあり、1人区での候補者調整は紆余(うよ)曲折をたどる可能性もある。

 立憲民主、国民民主、共産、自由、社民、衆院会派「無所属の会」の野党6党派は新潟県知事選で、トップが一堂に会して街頭演説を行うなど、国政選挙並みの応援態勢で臨んだ。それだけに敗北は野党各党に少なからずショックを与えた。特に新潟は平成28年の参院選(改選数1)と知事選で野党統一候補が与党系候補を破り、野党共闘の先駆的な県と位置づけられていた。ゆえに衝撃は一層大きかった。

 今回の知事選では自民党が政党色を抑えるため幹部らによる街頭演説などをほとんど行わず、企業や団体などを回る「ステルス作戦」に徹した。これに対し、野党側は安倍晋三政権への攻撃や与党系候補が元官僚だったことから森友・加計学園問題などを引き合いに官僚批判を繰り返した。

 こうした地方の首長選に国政の課題を持ち込むやり方が有権者の反感を買い、敗戦の一因になったとの見方がある。

 一方、立憲民主党幹部は敗因について「共産党や社民党に頼ってやる選挙の限界が出た」と漏らす。昨年の衆院選から続いた野党再編のあおりで立憲民主や国民民主の地元組織が脆弱(ぜいじゃく)な中、共産などが前面に出て選挙戦を支えた側面があり、それが無党派層などへの支持の広がりを欠いた要因であるとの分析だ。

 新潟県知事選と同じ10日に投票された東京・中野区議補選も立憲民主にとっては参院選の戦略を練る上で一つの判断材料となる結果となった。

 同補選は自民、立憲民主、共産各党の公認候補による三つどもえで争われた。同区は長妻昭代表代行(58)の地元で、立憲民主は新潟県知事選同様に枝野幸男代表(54)や福山哲郎幹事長(56)、蓮舫参院幹事長(50)ら幹部を続々と投入する力の入れようだった。

 結果、立憲民主公認候補が約4万票を獲得し、当選した。共産公認候補と反自民票を分け合う構図だったにも関わらず、次点の自民候補に1万票近い差をつけての圧勝だった。福山氏は選挙後、記者団に「自民、共産、立民の公認3者の中で、うちがあれだけの票をとれたというのは非常に大きい」と話した。立憲民主幹部は「(構図が)すっきりしていた方が実は戦いやすいということだ」と解説する。

 自民、公明の巨大与党に対し、野党が乱立している現状で与党に対峙(たいじ)するためには参院選の1人区では票の分散を防ぐため野党候補の一本化が不可欠だ。立憲民主も1人区での候補者調整の必要性は認めており、枝野氏は「安倍政権、自民党政権による政治がおかしいという皆さんとできるだけ幅広く、違いがあっても1人区は候補者を一本化すべきだという立場だ」と述べている。

 ただ、共産党が野党共闘のあり方として候補者の一本化に加えて求めている「相互推薦」には否定的だ。立憲民主幹部は「候補者の一本化は目指すが、共産含め他党の候補を推薦することはないだろう」と話し、あくまで候補者のすみ分けにとどめる考えだ。

 枝野氏は24日、さいたま市での講演で来年夏の参院選について「(比例代表に)候補者は20人くらい立てるつもりだ」と表明した。28年の前回参院選での旧民進党の擁立数に並ぶ数を挙げたのは、野党第一党として次期参院選で野党共闘の主導権を握ろうという戦略の表れだ。

 立憲民主は来年の改選によって衆参で与野党の「ねじれ」を作り出し、政権を追い込んでいく筋書きを念頭に置く。その実現のためにも、今後の地方選の結果なども踏まえ共産を含む他の野党との距離感を慎重に見極めていく考えだ。 (政治部 小沢慶太)