【衝撃事件の核心】ルール守れないと暴行待つ“地獄の日々” 死亡直前にも殴られ嘔吐繰り返す 目黒女児虐待死 - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】ルール守れないと暴行待つ“地獄の日々” 死亡直前にも殴られ嘔吐繰り返す 目黒女児虐待死

警視庁碑文谷署から送検される船戸雄大容疑者=3月4日、東京都目黒区(松本健吾撮影)
警視庁碑文谷署に移送された船戸優里容疑者=6月6日、東京都目黒区
 「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」。東京都目黒区のアパートで3月、船戸結愛ちゃん=当時(5)=が死亡し、保護責任者遺棄致死容疑で両親が逮捕された事件では、結愛ちゃんは死亡直前にも父親に激しく殴られ、嘔(おう)吐(と)を繰り返していた。早朝の勉強など10項目以上の“ルール”を課せられ、守れないと暴行が待つ地獄の日々。細る手でノートにつづった最後の願いすら、両親に届くことはなかった。
電灯・暖房なく、食事制限も
 結愛ちゃんは母親の優里容疑者(25)の連れ子で、雄大容疑者(33)との間に生まれた弟(1)を含む家族4人でアパートに暮らしていた。両親は弟を食事や病院に連れて行くことはあったが、結愛ちゃんを外に連れ出すことはほとんどなかった。
 捜査関係者によると、結愛ちゃんは電灯、暖房もない部屋で1人で寝かされていて、結愛ちゃんの部屋から「はをみがく/かおをあらう/べんきょうする」などの10項目以上の「決まり事」を書いた段ボール紙が見つかった。
 雄大容疑者は結愛ちゃんに自分で目覚ましをかけ、朝4時前に起きて平仮名や算数などの勉強をするよう強制。「モデル体形にする」と言って1日に1食しか与えない日もあるなど食事を制限し、死亡時の体重は2歳児並みの約12キロだった。
 結愛ちゃんがいいつけを守れなかったり、泣いたりすると、雄大容疑者が手を上げたり、ベランダに閉め出すなどの虐待を加えていたとされる。
「虐待の態様は極めて残忍」
 雄大容疑者が傷害容疑で逮捕された3月時点の供述によると、2月下旬、結愛ちゃんが勉強せずに寝ていたことへの「しつけ」として、水のシャワーを浴びせた上、顔を拳で複数回殴った。殴られた結愛ちゃんは必死に首を左右に振ったが、雄大容疑者の目には「反抗の態度」に映り、さらに殴った。
 暴行の数日後の3月2日に病院に搬送された結愛ちゃんの顔は腫れ上がり、室内には繰り返し嘔吐したような形跡もあった。オムツ姿で、トイレにいけないほど衰弱していたとみられ、同日に死亡した。
 警視庁捜査1課は暴行で死亡した可能性もあるとみて、殺人や傷害致死の容疑も視野に捜査したが、死因が低栄養状態での肺炎による敗血症と判明。暴行と死亡との間に直接的な因果関係は認められず、保護責任者遺棄致死容疑での立件となった。捜査関係者は「虐待の態様は極めて残忍で悪質」と強調する。
東京転居を機に「しつけ」エスカレート
 常軌を逸した雄大容疑者の「しつけ」を止めることはできなかったのか。一家が以前住んでいた香川県善通寺市でも、結愛ちゃんは自宅アパートの外に放置されていたとして、平成28年12月以降、県の児童相談所(児相)が2度にわたって一時保護していた。しかし、雄大容疑者らとの面接の結果、結愛ちゃんは昨年7月に両親の元に返されていた。
 県の児相によると、当時は雄大容疑者が仕事で多忙だったこともあり、「しつけ」がエスカレートする兆候はみられなかった。食事も野菜中心ではあったものの、親子で一緒にお菓子を手作りするなどしており、「結愛ちゃんが空腹を訴えたことはなかった」(児相関係者)という。
 しかし、一家の東京への転居を機に対応の引き継ぎを受けた品川児相は、今年2月に家庭訪問を実施したが面会を拒否され、結愛ちゃんの姿を見ることがないまま最悪の結末を迎えた。
 アパートの暗闇の中で1人、死の直前まで両親に許しを請い続けた結愛ちゃん。「あしたはもっともっと できるようにするから」-。その明日は永遠に奪われてしまった。