自画撮りわいせつ画像、要求するだけで犯罪に 2月施行の都改正条例で初摘発者 取り締まり強化する警察

衝撃事件の核心
改正条例でどう変わったか

 自らのわいせつな姿を撮影した「自画撮り」画像を18歳未満の子供に出させる行為を罰する条例を全国の自治体に先駆けて施行させた東京都。この条例が適用された初の摘発者が5月下旬に出た。被害にあった少女は軽い気持ちで下着姿などの画像を送信していたが、インターネット上への画像拡散などのリスクがあることを警視庁の捜査員に諭され、後悔の気持ちを強めたという。未成年者が言葉巧みに大人にだまされて自画撮り被害にさらされるケースが多く、警視庁は条例を活用して取り締まりを強化する。(社会部 三宅真太郎)

 「会えませんか?」。今年2月、警視庁の捜査員は少女が使っているとみられるツイッターのアカウントにメッセージを送った。

 警視庁は、インターネットを通じた出会いなどで未成年者が犯罪被害にあうことを防ぐため、「援助交際」「JK(女子高校生を意味する隠語)」などのキーワード検索をしながらネット上の書き込みを調べていた。その過程で、男性との出会いを求めるアカウントを見つけ、捜査員が接触するサイバー補導に踏み切った。

 待ち合わせ場所に現れたのは17歳の少女。「携帯の中身、見てもいいかな?」。少女に心を開いてもらうため、女性の捜査員が中心となって会話を続け、少女のスマートフォンを調べた。無料通信アプリ「カカオトーク」で面識のない男から「お金いっぱいあげるから送ってよ」と自画撮り画像を求められ、2月下旬に下着姿などの画像を送ったことが判明した。

 「お金が欲しかったのでやりました」。少女はそう説明したが、捜査員から「画像がネットに拡散されたら取り返しがつかなくなるんだよ」と諭され、「大変なことをしてしまった」と後悔したという。

■  ■  ■

 この少女が送った画像は裸などの児童ポルノに該当するような内容ではなく、従来は画像を要求した男の立件は困難だった。しかし、2月1日、都の改正青少年健全育成条例が施行され、18歳未満の者に金銭の提供を約束するなどしてわいせつ画像を求めることが禁止されたため、この少女のケースでは同条例違反で立件できた。

 5月28日に書類送検されたのは、東京都世田谷区の会社員の男(33)。男は「欲望に負けた。何かしらの法律違反になるだろうとは認識していた」などと話しているという。

 捜査関係者によると、男はツイッターで約300人の女性とみられるユーザーに対し、同様の手口で画像を要求。このうち1割にあたる約30人から顔写真などを受信した形跡があった。捜査関係者は「インターネットの怖さを知らない人が多過ぎる」と嘆く。

 警察庁のまとめでは、平成29年に摘発された事件で、自画撮りの児童ポルノを他人に送信した未成年者は515人にのぼり、24年の207人から約2・5倍に増加した。515人中の7割がツイッターや無料通信アプリ「ライン」などを使って知り合った相手に送信していた。

 画像がネット上に拡散したり、「写真をばらまかれたくないなら言うことを聞け」などと脅されたりするケースもあったため、都は未成年者保護の観点から改正条例の施行に踏み切った。全国では兵庫県が同様の条例を4月に施行し、京都や大阪でも導入が検討されているという。

 警視庁幹部は「要求するだけでも犯罪が成立するということを、大人にも子供にも知ってもらい自制してほしい。少しでも嫌な思いをしたら警察に相談して」と呼びかけている。