「おしゃべりオジサンとヤバイ女」古舘伊知郎

TVクリップ
「おしゃべりオジサンとヤバい女」の古舘伊知郎(萩原悠久人撮影)

恍惚とするほど「ヤバイ」トーク

 「毎回どんなゲストが出てくるか、わくわくする。本当に楽しい」

 60代の自身を筆頭に、50代の俳優の坂上忍、40代のお笑い芸人の千原ジュニアといった年代の違う「おしゃべりオジサン」3人が、さまざまな分野で活躍する「ヤバイ」くらい生きのいい女性をゲストに招いて、軽快なおしゃべりを楽しむバラエティー番組。これまでに成婚率80%の婚活アドバイザーや、出会い系サイトで出会った人に本を薦めまくることをライフワークにしていた女性などが登場した。

 「その分野が好きで好きで仕方ない人の話を聞いていると、自分もその気持ちを追体験して、恍惚(こうこつ)としてくる」

 私生活でも、オジサン3人は毎月飲み会を開いて遊び、それぞれの誕生日にはケーキを用意するなど、とても仲が良い。その信頼関係が番組での遠慮ないトークにつながっている。「こんなに楽しい現場はこれまでなかった」と振り返る一方で、「本当はこんなに楽しんではいけないという気持ちがある。もっと苦しまなきゃ視聴者に楽しんでもらえないのではないか」との不安もある。

 テレビ朝日を退社し、フリーアナウンサーに転身した昭和59年以来、組織から守ってもらうことなく、自力でテレビ業界を生き抜いてきた。常に仕事のことを考える日々を過ごすうちに「苦しんでいないと、自分が止まってしまう気がして怖い」と強迫観念を抱えるようになったという。とくに「報道ステーション」(テレビ朝日系)のメーンキャスターを12年間務めていたころは「ピリピリしていた。毎日が苦しかった」と振り返る。

 快活で歯切れ良いトークとは裏腹に、自身の性格について「へそ曲がりで内向的」とばっさり。趣味は「家族が寝静まった深夜、『こんな時間にダメだ』と思いながらの映画鑑賞」と話す。その心は「背徳感を楽しんでいるのかも」。また、趣味と実益を兼ねて、いつももう1人の自分が自身の行動を監視、分析して脳内実況を行っているという。

 そんな第三者から見て難儀な性格と行動のせいか、番組のゲストに臨床心理士の女性を招いた回では、坂上から「この中で一番病んでいるのは古舘さん」と指摘される羽目に。「忍ちゃんはいつも容赦ない」と苦笑いしつつ、「悩むこともあるが、いつも伸びしろを持っていたい。この番組で、難しいことを柔らかく、硬いことを面白く伝える研鑽(けんさん)を積もうと思っている」と前向きに話した。(文化部 三宅令)

 ●テレビ東京 土曜午後10時30分

 <ふるたち・いちろう>昭和29年生まれ。東京都出身。52年にテレビ朝日アナウンサーとして入社し、プロレス中継番組「ワールドプロレスリング」の実況を担当。59年に退社後、「株式会社古舘プロジェクト」を設立し、フリーに転身。さまざまな番組の司会や「報道ステーション」(テレビ朝日系)の初代メインキャスターとして活躍。