【TVクリップ】オトナの土ドラ「限界団地」俳優、佐野史郎 - 産経ニュース

【TVクリップ】オトナの土ドラ「限界団地」俳優、佐野史郎

土曜ドラマ「限界団地」主演の俳優、佐野史郎(飯田英男撮影)
土曜ドラマ「限界団地」主演の俳優、佐野史郎(飯田英男撮影)
連ドラ初主演最凶老人
 孫娘を溺愛し、古き良き団地の復活を目指して、理想にそぐわない隣人たちを次々に処分していく狂気に満ちた老人、寺内誠司を怪演する。狂気具合では、平成4年の人気ドラマ「ずっとあなたが好きだった」(TBS系)で演じたマザコン夫、冬彦さんと重なる役どころに「台本を読んで、(冬彦を)期待されているのは正直感じた」と話す。一方で、「冬彦は社会との折り合いがつかなかっただけで、今でも悪いとは思えない。でも、寺内は折り合いがつかない社会を理解した上で、打って出るので、一枚上手で攻撃的です」と両者の違いについて分析する。「怖さの質は違うが、寺内の方が冬彦の10倍怖い」
 かつては「夢のニュータウン」と呼ばれた団地だが、今は寂れて住民同士のつながりも希薄。そんななか、寺内は火事で両親を亡くした孫娘を引き取り、自らが幸せな少年時代を過ごした思い出の団地に戻ってきた。引っ越しの挨拶とともに、手製のドアノブカバーを配り歩き、初対面の隣に住む人妻(足立梨花)に「(子供)2人目の予定は」と聞く。違和感を覚える他人との距離の近さだが…。
 「いや、あれが昭和の時代は良しとされたんです。みんな私(寺内)のこと、怖い怖いと言いますが、何も間違ったこと言ってませんよ。『みんな仲良くしよう』、それだけです」
 なお、劇中では仲良くしないと、いつの間にか遺体で発見される展開が待っている。
 63歳にして連続ドラマ初主演。
 「台本を渡されて、ずいぶん出番が多いな、とは思ったけど、まさか主演だとは思わなかった」と笑う。座長としてのプレッシャーを感じつつ「ピラミッドの頂点に君臨するのではなく、一人一人と話し合い、ドラマを作り上げていきたい」と周囲に向き合う。娘ほど年の違う共演者の足立へ話す言葉にも気を使うといい、「僕の言うことを素直に受け取らなくていい。役者として対等でいたい、それでこそ予期せぬリアリティーが生まれると思うから」。
 リアリティーを追い求め、撮影期間は寺内と同じように、愛する団地のことを一心に考えている。「“本当の自分”として寺内を演じている」。インタビュー中も思いついたそばから、細かいせりふの調整を行っていた。「台本をなぞるだけでは虚構にしかならない。突き詰めてこそ現実が生まれる。視聴者にも、寺内と一緒に土曜の夜を生きてもらいたい」(文化部 三宅令)
 ●フジテレビ 土曜午後11時40分~ 
 さの・しろう 昭和30年生まれ。島根県出身。劇団「状況劇場」などに所属し、昭和61年に映画「夢みるように眠りたい」で初主演。平成4年、ドラマ「ずっとあなたが好きだった」(TBS系)でマザコンの代名詞となった桂田冬彦(冬彦さん)役で一躍有名に。今年のNHK大河ドラマ「西郷どん」では井伊直弼を演じた。