1・2%+1・7%=1・0%!? ご祝儀相場とは無縁の国民民主党、奇跡の「支持率マジック」

野党ウオッチ

 まるで手品を見せられているようだ。旧民進党と旧希望の党が合流して今月発足した新党「国民民主党」の支持率が、旧2党の合計値を下回るという珍現象が起きている。それも、1つや2つの世論調査ではない。少なくとも8つの報道機関の調査で同じ傾向が示されたのだ。

 「手品のように、あるいは魔法のように支持率が上がるうまい方法はない…」

 国民民主党の大塚耕平共同代表(58)は5月24日の記者会見で党勢拡大の展望について聞かれ、神妙な表情でこう語った。不可思議な「支持率マジック」を披露した政党のトップにしては、意外と謙虚(?)な発言である。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が5月19、20両日に実施した合同世論調査では、国民民主党の支持率は1・0%に低迷した。4月の調査での旧2党の支持率(民進党1・2%、希望の党1・7%)の合計値より1・9ポイントも低いわけだから、これはただならぬ事態だ。

 他に、5月7日の国民民主党結党後に行われた7つの世論調査(朝日新聞、読売新聞、共同通信、NHK、NNN、JNN、ANN)でも、同党の支持率はそろって旧2党の合計値を下回った。JNNに至っては2ポイント以上も下落している。

 一般的に、新党の結成直後はいったん期待感が高まるケースが多いが、そうした「ご祝儀相場」とは一切無縁の窮状である。

 異例の低迷ぶりの理由について、玉木雄一郎共同代表(49)は5月21日の記者会見で「選挙は最大の広報だ。選挙をしていない以上、なかなか認知度においても限界がある」と分析したが、手品の「種明かし」には全くなっていない。

 旧2党の支持者すらも新党結成に冷ややかな視線を注ぐ-。この構図は、合流の過程で多くの所属議員が新党に背を向けていった経緯と重なる。

 そもそも、旧2党執行部が結集にかじを切ったのは、衆参両院で野党第一党を押さえなければ国会論戦で存在感を発揮できないと痛感したからだった。

 より多くの議員の参加を目指す方向性は、新党の基本政策によく表れている。例えば、安全保障法制に関しては次のような表現が採用された。

 「違憲と指摘される部分を白紙撤回することを含め、必要な見直しを行う」

 何が違憲かを明確に示さないことで、保守系から左派まで、さまざまな立場の議員を取り込むことを狙ったわけだ。しかし、皮肉なことに、玉虫色の表現は双方の離反を招いた。保守系議員は「白紙撤回」の記述に反発し、安保法制に批判的な議員は表現のあいまいさに不満を抱いた。

 旧希望の党創設メンバーの一人で保守系の細野豪志元環境相(46)は、新党に参加せず無所属で活動する道を選んだ。細野氏は産経新聞のインタビューで「国民民主党が掲げる政策をみれば、希望の党の結党理念の実現は難しい」「先の衆院選で訴えた『現実的な外交・安全保障政策の展開』『9条を含めた憲法改正論議の推進』を政策として具体化することができなかった」と語っている。

 一方、新党結成に反発して旧民進党を離党し、立憲民主党に入党した小川敏夫元法相(70)は、安保法制を見直すべきだという立場から「新党は安保政策にあいまいなところがある。はっきりとした立憲民主党に共鳴している」と記者団に語った。

 新党入りを敬遠する議員は他にも相次ぎ、旧民進、旧希望両党に所属していた衆参計107人のうち、新党参加者は衆院39人、参院23人の計62人にとどまった。

 細野氏や小川氏らと同様、さまざまな理由から旧2党に期待を寄せていた有権者もまた、「大きな固まり」を目指すだけの大義なき新党結成にそっぽを向いたのではないか。

 「穏健保守からリベラルまでを包摂する」

 国民民主党の綱領に掲げられたフレーズがむなしく響く。 (政治部 松本学)