官僚呼びつけ「まるで魔女狩り」の野党合同ヒアリング 批判集中でついに見直しへ

野党ウオッチ
野党合同ヒアリングで、現職自衛官による小西洋之参院議員(左)への暴言問題を謝罪する防衛省職員ら=4月19日、国会内(春名中撮影)

 通常国会は6月20日の会期末まで残り1カ月を切り、最終盤にさしかかった。今国会で野党が安倍晋三政権を追及する場としてよくも悪くも注目を集めたのが立憲民主党、国民民主党、共産党などによる合同ヒアリングだ。学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改竄(かいざん)や働き方改革関連法案をめぐる裁量労働制のデータ問題など疑惑の解明に一定の成果を挙げてきた。ただ官僚を呼びつけて野党議員が一方的に責め立てる姿に「まるで魔女狩りだ」といった批判が集中し、立憲民主党と国民民主党はあり方の見直しに迫られた。

 野党合同ヒアリングは森友・加計学園問題や財務省決裁文書改竄、自衛隊の日報問題など安倍政権をめぐる疑惑や不祥事について関連する省庁幹部を呼び、事実関係をただす場となっていた。今国会はこれまでに約90回開催し、働き方改革をめぐっては裁量労働制に関する厚生労働省調査の不適切データ問題をあぶり出した。

 立憲民主党の長妻昭代表代行(57)は17日、BS11番組で合同ヒアリングについて「野党が結束して追及し、相当な事実に迫る寸前まできている」と有効性を強調した。国会で政府や巨大与党に対峙(たいじ)するための野党共闘の舞台ともなっていた。

 成果の半面、その運用や追及の手法に批判が集まっていたことも事実だ。マスコミに全面的に公開された場で「ふざけるなよ!」「そんな組織いらないよ!」などと攻撃的な言葉で怒鳴りつける議員もいて、官僚をつるし上げるような場面が目立った。国会審議を拒否し、「18連休」だった最中に、一方でヒアリングを開いていたことも非難の的となった。

 財務省の福田淳一前事務次官のセクハラ問題を追及する合同ヒアリングでは、出席議員が「はめられて訴えられたのではないかなどの意見はある」「セクハラ罪という罪はない」といった麻生太郎財務相(77)の発言を撤回するよう執拗(しつよう)に迫った。

 しかし、ヒアリングの場にいる官僚が閣僚に発言を撤回させるのはそもそも不可能に近い話で、撤回を求めるのであれば国会の委員会などに出て直接、麻生氏に迫るのが筋だろう。

 財務省が福田氏の処分を発表した4月27日には、処分発表の前後で2回ヒアリングを開いた。発表前には財務省がセクハラを認定しないまま福田氏を処分するのではないかとの臆測に基づいて対応を批判し、またそうならないようくぎを刺した。

 しかし、財務省がセクハラを認定した上で処分を発表すると、その後のヒアリングでは「処分が軽すぎる」「福田氏の謝罪がない」などと別の材料を見つけては官僚に批判を浴びせた。

 財務省の肩を持つつもりは全くないが、これでは単に官僚のつるし上げだと非難されても仕方ない。自分たちの不満をぶつけるだけならば、事実を追及する場とはほど遠い。

 野党ながら合同ヒアリングに参加していない日本維新の会の馬場伸幸幹事長(53)は記者会見で、ヒアリングを「全く無駄だし、あれだけ多くの職員を拘束して、何の生産性があるのか。メディアも相手にしなければいい」と痛烈に批判している。

 こうした批判を背景に、立憲民主党の辻元清美(58)、国民民主党の泉健太(43)両国対委員長は大型連休明けの5月9日に国会内で会談し、合同ヒアリングのあり方を見直す方針で一致した。泉氏が改善を要請したところ、辻元氏は「成果面を評価しつつ、反省点を改良したい」と応じた。今後はテーマを絞り、冷静な対応に努めるなど工夫をこらすという。

 立憲民主党幹部は「ヒアリングをやめるつもりはない」としているが、果たしてパフォーマンスではない生産性のある追及の場として生まれ変わることはできるのか。 (政治部 小沢慶太)