【衝撃事件の核心】暴行容疑で自称「ユーチューバー」を逮捕 なりたい職業上位もトラブル続々… - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】暴行容疑で自称「ユーチューバー」を逮捕 なりたい職業上位もトラブル続々…

「生放送ができるバー」の入るビル=新宿区歌舞伎町
動画配信中に騒動のあったバーの入るビル=新宿区歌舞伎町
 動画投稿サイト「ユーチューブ」に動画を投稿して広告収入を稼ぐ「ユーチューバー」を名乗る男(35)が5月4日、東京・新宿のバーで動画配信中に女性の頭を殴ったとして、警視庁に暴行容疑で逮捕された。強い酒を飲む動画を配信するはずが、生中継されたのは、酒にのまれて理性を失い、暴れ出す男の姿だった。動画投稿をめぐっては、一獲千金の夢をかなえる「成功者」がいる一方で、閲覧数を求めるあまり、過激な動画を投稿してトラブルを引き起こすケースも相次いでいる。
生中継中に…
 「触んな、触んなよ!」
 泥酔状態の男はふらつきながら、なだめようとした男性を押しのけ、次の瞬間、近くにいた女性の頭に向かって右手を振り下ろした-。4日早朝、こんな衝撃的な動画がインターネット上で生中継された。
 事件の現場となったのは、新宿・歌舞伎町の雑居ビル2階にある飲食店。大型モニターやカメラなどの機材を完備し、「生放送ができる」バーとして昨年4月にオープンした店は、動画配信者のたまり場になっていた。ユーチューバーを自称していた男も店の常連客で、この日はアルコール度数の高い酒を飲む動画を配信していたという。
 男はこれまでにもたびたび“お騒がせ”動画を公開。平成27年には、知人の車を無免許運転する様子や、無人の交番に侵入してダンスする様子を動画撮影して公開し、道交法違反や建造物侵入などの容疑で逮捕されていた。
 今回の暴行では女性にけがはなかったものの、男の度重なるに迷惑行為に、「見過ごすわけにはいかない」と捜査関係者。また、同店では過去にも、動画配信中の酔客のトラブルなどで110番通報があったといい、警視庁新宿署は今後、店への立ち入りなども検討しているという。
「なりたい職業」6位
 ユーチューブなどの動画投稿サイトでは、動画の再生回数や閲覧者数に応じて、広告収入の一部が投稿者に支払われる。
 ユーチューブで複数のチャンネルを運営し、1千万人以上の登録視聴者を抱える国内トップクラスのユーチューバーの男性は、年間1億円以上を稼ぐとも言われ、若年層を中心にアイドル級の人気を誇る。「好きなことで、生きていく」-と数年前に流行した同サイトのCMのキャッチフレーズのように、子供たちの間でも職業の選択肢の一つとして浸透しつつある。
 NPO法人「日本FP協会」が小学生の作文をもとに集計した「将来なりたい職業」ランキング(平成29年実施)によると、ユーチューバーはスポーツ選手・監督や医師、ゲーム制作関連などに次いで、6位にランクイン。前年の14位から急浮上し、19年の集計開始以来、初のトップ10入りを果たしており、近年の急激な人気の高まりが伺える。
国内外でトラブル、逮捕者も
 小学生の羨望のまなざしを集める一方で、投稿者が閲覧数を求めて内容を過激化させ、犯罪やトラブルを誘発する現状も浮かび上がっている。
 27年5月には、「浅草の祭りの会場で小型無人機『ドローン』を飛ばす」などと示唆する動画を投稿した少年が、警視庁に威力業務妨害容疑で逮捕された。少年は逮捕前にも寺社などでドローンを飛ばしたり、警察から職務質問されたりする動画を投稿し、収入を得ていたという。
 三重県では昨年1月、トラック運転手の男がチェーンソーを持って宅配業者の営業所に押し入り、従業員を脅す動画をユーチューブで公開。暴力行為法違反容疑で県警に逮捕された。
 トラブルは海外でも発生。米国では昨年6月、恋人の男性の胸に厚い本をあて、銃弾を止める動画を撮影しようとした女が、誤って男性を射殺。同年12月には、人気ユーチューバーの米国人男性が富士山の樹海で発見した遺体の動画を投稿し、ネット上で厳しい批判を浴びて「炎上」した。
 大勢の共感を呼ぶ動画は芸術作品とも言えるかもしれないが、いたずらに刺激を求める演出は、犯罪と紙一重。ユーチューバーに憧れる子供たちは、冒頭の男の動画を見て、何を思うのだろうか。