「人生100年時代」40代でもう定年後を意識!? メットライフのサイト「♯老後を変える」大人気

経済インサイド
メットライフ生命保険の健康応援サイト「♯老後を変える」(ホームページから)

 「人生100年時代」へ向かって長寿化が進む中、定年後の長い老後を支える生活資金や健康などへの不安が幅広い年齢層に広がっている。かつて、老後を考えるのは60歳の定年がみえた50代半ば以降からというイメージだったが、メットライフ生命保険の調べによると、20~30代の若い世代も含めて6~7割が老後に不安を抱えているという。こうした実態を踏まえ、メットライフ生命は40~50代をメインターゲットとしたインターネット上の健康応援サイト「♯老後を変える」を昨年7月に開設(9月にリニューアル)。これまでに延べ150万人が閲覧する人気ぶりだ。

 同サイトでは、健康で前向きに日常生活を送るため、幅広い分野で活躍するさまざまな年代の著名人や有識者が人生を豊かにする秘訣(ひけつ)を紹介。「楽しむ」「備える」「豊かになる」のテーマ別に現段階で約80本の多彩な記事を配信している。

 「楽しむ」では、スマートフォン向けゲームアプリを開発し、世界最高齢のプログラマーとして知られる若宮正子さん(83)にインタビューした記事を「いつも“今”が一番! 失敗さえも楽しめる生き方とは?」と題して紹介。若宮さんは「年をとることに不安はありません。人間いつかは死ぬんだから気にしすぎないで、それよりも生きてるうちをめいっぱい生きることが大事かな」と語っている。

 また、「人生を謳歌(おうか)する鍵を握るのは『40代の過ごし方にある』」と題した記事では、40代以降に成功を収めた国内外の偉人を紹介。新しい体験を前向きに楽しむヒントを示す。

 「豊かになる」では、元プロ野球選手の森本稀哲(ひちょり)さん(37)に引退後の人生について取材した「元プロ野球選手・森本稀哲氏が語る『今の行動が未来を変える! どこまでも挑戦をやめない理由』」が好評だ。

 「備える」では、「老後のお金を備えるために、若いうちは何をすべき?」と題し、ファイナンシャルプランナーが、無理をせず柔軟に貯蓄する方法を指南する。

 これまでに延べ約150万人が同サイトを閲覧し、メットライフ生命は「関心が高いという手応えを感じる」(日下部真一ブランド企画部長)。特に反響が大きかったのは、認知症や病気予防に関した記事だという。日下部氏は「長寿化が進んだことで若い人の間で漠然とした老いへの不安が広がっている」と要因を分析する。

 最近は、雑誌で老後への備えや定年後の過ごし方についての特集記事が目につくようになったが、50代半ば以降の定年直前世代向けのものが多い。

 「♯老後を変える」の編集長を務めるデジタルマーケティング業、エヌプラスの中村祐介代表は「40~50代に向けたコンテンツはこれまでなかったのではないか」と語る。「定年直前に老後の準備を始めても遅く、40代の潜在ニーズは十分あったと思うが、ニッチな市場だったため(コンテンツが)存在しなかったのだろう」と分析する。

 日下部氏は40~50代の心境について、「子供の大学進学とともに親の介護も加わるようになり、生涯の中で最も悩みが多くなる年代。老後を自分のこととしてとらえるようになるのだろう」と考えている。

 編集会議は毎週火曜日にメットライフ生命本社(東京都千代田区)で開き、日下部氏や広報担当者らが中村氏と話し合う。その後に中村氏が具体案を示し、週2~3本のペースで新しい記事を追加している。

 編集上心がけていることについて、中村氏は「押しつけがましくしなく、読者に自分がどうするかを考えるきっかけにしてほしい」と打ち明ける。

 例えば若宮さんのインタビューでは、プログラマーとしての経歴よりも、「何がしたいのかを考えて生きてきた」という彼女の心の持ちようにスポットを当てたという。

 6月には、「♯老後を変えるサミット」を東京で開く。ネット上だけでなく、健康や老後資金についてより具体的に考えるリアル(現実)な場を提供する。

 ただ、40~50代の中年向け記事にもかかわらず、サイトのタイトルに「老後」という敬遠されがちな言葉を使っていることに、記者は違和感を覚えた。日下部氏は「だからこそ、(老後を)明るく豊かな感覚としてとらえてもらえるようあえて打ち出した。これまでの老後の概念そのものを変えたい」と意気込む。

 また、それぞれの記事では、メットライフ生命の保険商品を直接アピールしておらず、力を入れる理由がよく分からなかった。

 ただ、認知症関連のある記事では、認知症と診断された時点で一時金が支払われる同社独自の医療保険商品を社名を明かさずにさりげなくPRしている。

 まさに、押しつけがましくない同社の巧みな戦略には驚くばかりだ。(経済本部 佐竹一秀)