【野党ウオッチ】打算が裏目「野党第一党」叶わず…国民民主党 玉木、大塚両代表とも憲法・安保に言及せず何を目指す? - 産経ニュース

【野党ウオッチ】打算が裏目「野党第一党」叶わず…国民民主党 玉木、大塚両代表とも憲法・安保に言及せず何を目指す?

国民民主党結党大会で握手を交わす共同代表の大塚耕平(左)、玉木雄一郎両氏=7日午後、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)
国民民主党設立大会で気勢を上げる新共同代表の大塚耕平(前列右)、玉木雄一郎(同左)両氏ら=7日午後、東京都千代田区(斎藤良雄撮影)
4月9日、新党結成に向け党首会談に臨んだ民進党の大塚耕平代表(右)と希望の党の玉木雄一郎代表=国会内(春名中撮影)
 民進党と希望の党による合流新党「国民民主党」が7日に旗揚げされた。旧民進党代表の大塚耕平参院議員(58)とともに共同代表に選出された旧希望の党代表の玉木雄一郎衆院議員(49)は「安倍晋三政権に代わる政権の中軸を担う」と意気込んだが、所属議員らの高揚感は低い。衆院は野党第一党の座を奪えず、参院でも参加議員は伸び悩み、期待した党名「民主党」も使えず終まい-。新党構想の算段が相次いで裏目に出て、展望が開けないからだ。
 「国民を第一に考える政党ができたことは日本の政治史において必ず意味がある。新しい一歩を一緒に始めていこうではありませんか!」
 玉木氏は設立大会で共同代表に選任された後、演説で会場を鼓舞するようにこう熱弁した。ただ、満場の拍手とまではいかず、玉木氏の“空元気”が印象づけられた。
 新党結成は、立憲民主党から衆院野党第一党の座を奪い、国会審議で主導権を握るもくろみがあった。だが、新党参加者は衆院議員が合流前の両党計63人から39人にとどまり、引き続き立憲民主党(54人)が野党第一党を担う。
 参院議員は計44人から23人とほぼ半減した。無所属議員1人が加わって24人の参院会派は8日時点でこそ野党第一党だが、7人だった立憲民主党には8日、新党に参加しなかった10人が入党。さらに6人の無所属議員が会派を組む予定で23人となる。立憲民主党会派は今後も増える見通しで、国民民主党の野党第二党への転落も時間の問題だ。
 新党への不参加者が相次いだ背景には、岡田克也元副総理(64)ら衆院の民進党系会派「無所属の会」が立憲民主党の合流が取り付けられなかった新党への参加を拒否した影響が大きい。岡田氏らの意向に沿う形で、旧希望の党の大串博志衆院議員(52)や旧民進党の芝博一参院議員(68)らが相次いで新党参加を見送った。
 旧希望の党幹部は「両党執行部が『無所属の会』の参加を説得できなかった時点で、この試みは失敗に終わった。敗北宣言を出すべき状況だ」と投げやりに振り返る。
 党名についても誤算があった。旧民進、希望両党の議員の多くが期待した「民主党」は、立憲民主党が昨年の衆院選で略称として同名を総務省に届け出ており、重複を避けるために採用を見送った。
 特に地方議員の落胆は大きい。国会議員の都合で党名が「民進党」や「希望の党」に変更される中、来春に統一地方選を控えた地方側からは、平成8年の結党から愛着がある「民主党」に党名を戻すべきとの声が根強かった。
 「民主党」の採用は民進党の最大の支援組織・連合側の期待もあった。旧総評系産別が立憲民主党支持を打ち出すケースが相次ぐ中、旧同盟系出身で固める連合執行部としては、「民主党」を冠すれば旧同盟系の組織内議員も多い旧民進党執行部が主導して結成する新党を支援できる大義になると踏んでいた。
 新党結成時期について、旧民進党の増子輝彦幹事長(70)が、労働者の祭典・メーデー前までに「新しい党の形で戦うべきだ」と盛んに主張した背景にも連合の存在があった。連合の地方組織などがメーデー前後の集会で新党の議員・候補者を紹介できるようにするためだ。
 ただ、このような新党構想には旧民進、希望双方から疑問が投げかけられた。無所属の道を選んだ旧希望の党の長島昭久元防衛副大臣(56)は新党を「選挙互助会」と断じ、4月に一足早く立憲民主党入りした旧民進党の杉尾秀哉参院議員(60)も「数合わせだ」と切り捨てた。
 肝心な新党の基本政策とは何か。7日の設立大会で玉木、大塚両氏とも政策の立ち位置としてAI(人工知能)などの革新的技術の活用、生活に最低限必要なお金を国民全員に給付する「ベーシックインカム」の導入を強調した。両氏の演説は計23分間に及んだが、憲法や安全保障についての考えは示さなかった。
 政権交代を目指す国民政党を掲げながら、国家の基本といえる憲法や、北朝鮮情勢が緊迫する中で外交・安全保障政策に一言も触れなかったことは理解に苦しむ。無所属を選択した旧民進の中堅の参院議員は「分かりやすい安保・憲法隠しだ。明確に考えを示せば党内が割れてしまうからだ」と皮肉混じりに解説した。
 ただ、「選挙互助会」と揶揄する声には、玉木氏も反論する気はないようだ。なぜなら玉木氏は4月9日、旧希望の党の会合で「すべての議員が選挙に勝つためのリソースを提供するのが政党の一番の役割だ」と発言した。政策実現ではなく、選挙での勝利を政党の第一目的に掲げたこの言葉は党関係者から陰で嘲笑を浴びた。
 こうした批判をはね返すには、玉木氏や大塚氏が党内の批判を恐れずに、安保政策や憲法改正の持論を開陳し、有権者への説得を地道に続けるべきではないだろうか。いまだに政権のスキャンダルを執拗に追及する立憲民主党と一線を画すのも一つの方法だろう。
 玉木氏は昨年11月の旧希望の党代表選出時に「認知症対策」や「憲法9条議論」の推進を掲げた。しかし成果は皆無だったと言っていい。再び自らの発言を反故にする過去を繰り返せば、今度こそ信頼は失墜するだろう。 (政治部 奥原慎平)