【野党ウオッチ】民進・希望新党、合流したのに野党第2党の本末転倒!?  - 産経ニュース

【野党ウオッチ】民進・希望新党、合流したのに野党第2党の本末転倒!? 

「国民民主党」結党の合意書を交わす民進党の大塚耕平代表(右)と希望の党の玉木雄一郎代表=4月26日、国会内(春名中撮影)
民進党を離党する意向を表明する岡田克也元副総理=4月27日、国会内(春名中撮影)
民進党を離党する意向を表明する安住淳元財務相=4月27日、国会内(春名中撮影)
 民進党と希望の党が大型連休明けに結成する新党「国民民主党」が目を覆うばかりの低迷ぶりだ。両党所属議員107人のうち新党参加者は60人台にとどまりそうな情勢で、衆院では野党第一党・立憲民主党の54人の後塵を拝することが確実となった。民進党の大塚耕平代表(58)と希望の党の玉木雄一郎代表(48)が唱え続けた「大きな固まり」は、もはや掛け声倒れになりつつある。
 「野党が政府に対してチェック機能を果たすべきときに、新党作りにうつつを抜かしている感覚がちょっと私には理解できない」
 民進党の安住淳元財務相(56)は4月27日、国会内で開いた離党表明の記者会見で「国民民主党」結党の動きを冷ややかに評した。
 安住氏に加え、岡田克也元副総理(64)、小川敏夫元法相(70)、玄葉光一郎元外相(53)、鉢呂吉雄元経済産業相(70)…。閣僚経験を持つ党の重鎮たちが次々と離党を表明していくさまは、旧民主党政権末期の「離党ドミノ」の衝撃度を上回る。
 国民民主党の結成は、民進党が党名を変更し、解散した希望の党が合流する方式で行われる。つまり、民進党議員は離党しない限り自動的に国民民主党所属となってしまうため、参加したくない場合は自分から離党届を出すほかないのだ。
 新党が忌避される背景には、民進、希望2党だけの合流では、立憲民主党を含む幅広い野党の結集につながらないという見方が根強い。今回の合流には、立憲民主党が政党同士の合流を拒絶している状況を踏まえた「次善の策」(連合関係者)という側面があった。岡田氏は離党表明の記者会見で次のように語っている。
 「野党第一党である立憲民主党との関係をきちんと作っていくことが最優先ではないか。国民民主党を作ることでかえって距離ができてしまうのではないか」
 昨年の衆院選前の民進党分裂の遺恨はいまだに尾を引いている。岡田氏らは、民進党系3党に横たわるわだかまりを時間をかけて解きほぐし、将来的に再結集することを目指してきた。
 一方、民進党との決別を掲げて衆院選を戦った希望の党の中には、「先祖返り」を拒む立場から新党不参加を決めた細野豪志元環境相(46)や長島昭久元防衛副大臣(56)のようなケースもある。
 さまざまな理由から参加を敬遠する議員が増えていった結果、国民民主党は衆院が40人台前半、参院20人台前半という「中途半端な規模」(希望の党関係者)で発足を迎えそうだ。
 どうにか参院での野党第一党は確保できそうだが、それすら盤石ではない。
 前出の小川氏が記者会見で明かした観測によると、参院民進党では小川氏を含む17人が離党し、このうち10人が立憲民主党入党を、7人が無所属での活動を模索しているという。
 立憲民主党所属の参院議員は現在7人だ。小川氏の見立て通りに10人が入党したとしても国民民主党には届かない。しかし、民進党離党後に無所属となる見通しの議員の中には、立憲民主党との会派結成を模索する動きがある。この構想が実現した場合、参院の立憲民主党系会派は国民民主党と拮抗する規模になる可能性がある。
 数合わせを優先して政策や理念の違いに目をつむる合従連衡はしばしば見られるが、合流した末に「数」でさえ優位に立てないのであれば、何のためにエネルギーを費やしてきたのか分からない。
 本来であれば、政党の合流や分裂の取材は記者に高揚感を抱かせるものだ。政治家が利害やメンツをかけて繰り広げる綱引きにはわくわくするし、攻防の主役や脇役の喜怒哀楽を記事として表現する作業は心躍る。しかし、今回の新党結成はどうも盛り上がらないのだ。
 なぜか。きっと、合流の目的が「時計の針」を戻すことでしかないからだと思う。
 民進党は昨年9月28日の両院議員総会で、翌月の衆院選に一切の候補者を立てず、設立されたばかりの希望の党に公認を申請をするという奇策を満場一致で了承した。
 総会を取材していて、野党の盟主としての矜持のかけらもない意思決定に言葉を失った。
 旧民主党時代を合わせれば約20年の歴史を持ち、政権も担った経験もある。支持率が低迷しているとはいえ約23万人の党員・サポーターを擁し、全国津々浦々に地方組織も持つ。そんな一朝一夕には作り得ない政党を所属議員自らの手でぶち壊してしまったのだ。
 国民民主党の結成は「自民党政権に代わる野党の結集」(玉木氏)と胸を張るような立派なものではない。20年かけて築いた野党第一党を自分たちで勝手に壊し、後になってその愚かさに気づき、どうにかそれを修復できないかと右往左往しているに過ぎない。
 マイナスをゼロに戻すための再編-。そう考えてみると、党名候補の一つとして浮上した「新党ゼロ」は実に言い得て妙である。 (政治部 松本学)