海外投資家の日本株売買 4月は18年連続の「買い越し」なるか

経済インサイド

 東京株式市場が新年度相場入りして1カ月になる。4月は例年、日本株の売買で6~7割のシェアを握る最大プレーヤーの海外投資家が日本株買いを増やす傾向が強く、昨年まで17年連続で「買い越し」(買いが売りを上回る状態)だ。今年の4月も買い越せば18年連続となるが、今後を見渡せば、米中間の「貿易戦争」への懸念や国内政治の不透明感など複数の懸念材料がある。

 東京証券取引所は毎月初めに、前月の投資部門別の売買状況を公表している。4月は、東京・名古屋2市場(平成25年までは東京・名古屋・大阪3市場)でみると、海外勢は平成13~29年の17年連続で買い越している。

 この17年を振り返ると、イラク戦争や、東証が株式の全銘柄の取引停止に踏み切った「ライブドア・ショック」、リーマン・ショックなど、いくつもの激震があったが、そうした出来事の余波を受けても4月に海外勢は日本株を買い越しているという季節性がある。一体、どうしてなのか。

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「いくつかの説がある」とした上で、株式を保有することで企業から支払われた配当金や、還付された税金が、日本株投資にも向かいやすいことを挙げる。「海外は12月期決算の企業が多く、3~4月に入ってきた配当金が再投資に回る。また、3月ごろに税金が還付されると、4月は日本株にも資金が向かいやすい」との見方を示す。

 また、4月は米国株が上がりやすい季節性もあり、ダウ工業株30種平均は2006年から17年まで12年連続で上昇している。4月の米株高が海外勢の心理を下支えし、日本株買いを後押ししている面もある。

 今年の4月の売買状況はゴールデンウイーク連休明けの5月8日に東証が発表する予定だ。週間ベースでは、海外勢は直近の4月第3週(16~20日)まで4週連続で買い越しており、4月に入ってからの3週間の買越額は単純合算で3581億円。1月第2週から3月第3週まで11週連続で売り越しており、買い戻しが入ったためとみられる。

 海外勢の売り越し基調は一巡してきたが、この先も日本株相場をめぐっては複数のリスク要因がある。

 まず挙がるのが、通商面をめぐる米中の対立。金融市場では、両国が打ち出す対応や政権高官の発言が流れるたびに、過度な警戒感が和らいだり、リスク回避姿勢が強まったり、一喜一憂する展開が続いている。経済規模で世界1位と2位の両国が本気で争えば貿易量の縮小を通じて世界経済に強い悪影響を与えるのは不可避だけに、本格的な貿易戦争には至らないとの見方もあるが、懸念払拭はほど遠く、今後も日本株の重しとなる公算が大きい。

 日本株相場に影響を与える円相場は1月初めに1ドル=113円台をつけていたが、3月下旬には一時1ドル=104円60銭台まで急騰する場面があった。日銀が4月2日に発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業が想定する平成30年度の為替レートは1ドル=109円66銭。足元では米長期金利の上昇で円安ドル高基調となっているが、再び円高方向に傾けば輸出企業の収益が圧迫されて日本株売りにつながる。

 さらに、盤石だった国内の政治情勢もここにきて不透明感が漂ってきている。学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書の改竄(かいざん)問題に続き、学校法人「加計(かけ)学園」による獣医学部新設計画をめぐる問題が再燃。財務省の事務方トップである福田淳一事務次官による女性記者へのセクハラ問題も加わり、いずれも安倍晋三首相の政権運営に逆風となっている。

 足元の日本株相場は国内政治をめぐるリスクをまだ織り込んでいない。9月には自民党総裁選が控えている。政治情勢が急変し安倍政権の継続性への疑義が深まれば、約5年半にわたり円安・株高を演出した安倍政権の経済政策「アベノミクス」が危ぶまれ、海外勢の日本株売りを引き起こしかねない。(経済本部 森田晶宏)