【経済インサイド】セガのゲーム機「メガドライブ」復活へ 「ドリキャス」は困難か - 産経ニュース

【経済インサイド】セガのゲーム機「メガドライブ」復活へ 「ドリキャス」は困難か

「メガドライブ ミニ(仮称)」を発表するセガホールディングスの里見治紀会長=4月14日、東京都千代田区
セガの家庭用ゲーム機「メガドライブ」
インタビューに応じるセガゲームスの松原健二社長=3月13日、東京都港区
セガの最後の家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」
セガ最後の家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」の発売日には、「セガなんてだっせーよな」など自虐的な演出で話題を呼んだテレビCMに出演した湯川英一専務(当時)もメガホンを取った=平成10年11月、東京・秋葉原
 「SG-1000」に始まり、「ドリームキャスト」で終わったセガゲームス(旧セガ・エンタープライゼス)の家庭用ゲーム機-。セガが、平成13年に撤退した家庭用ゲーム機への再参入に踏み切る。任天堂の「スーパーファミコン」とゲームファンを二分したセガの「メガドライブ」の復刻版「メガドライブ ミニ(仮称)」を年内に発売する予定という。一方、「セガなんてだっせーよな」「(ソニーの)プレステ(プレイステーション)の方が面白いよな」という自虐テレビCMで一世を風靡(ふうび)したドリキャスはどうなるのか。セガの松原健二社長への取材から可能性を探った。
 「ハードウエア(ゲーム機)のご要望を特に日本でいただいているので、今後考えていきたい。調整があるので少しお待ちください」
 松原氏は、過去のゲームタイトルをどう活用するかという記者の質問に対し、「新しいゲームタイトルと古いタイトルのバランスが大事」とした上で、家庭用ゲーム機復活の可能性についてこう打ち明けた。
 その上で、台湾のメーカーがセガから公式に認定を受けて発売しているメガドライブの復刻版「セガジェネシスフラッシュバック」について言及。「世界中で販売されており、ドイツではゲームショップに普通に置いてあってクリスマスの時期でも売れている。ゲーム機の形自体は昔のままだが、中の基板は今の技術なので本体は軽い」と説明した。一方、ソフトの販売と比べた場合、ハードの販売には、在庫の管理や流通、保守といった課題があることも付け加えた。
 記者が松原氏にインタビューしたのは3月中旬。それからほぼ1カ月後の4月14日、セガゲームス親会社のセガホールディングス(HD)は、東京・秋葉原の自社イベントで復刻版の発売を突然ぶち上げた。
 登壇したセガHDの里見治紀会長は、手のひらサイズのメガドライブ ミニをお披露目し「ゲーム業界を席巻したタイトルから、マニアがうなるものまで、ユーザーの声を反映したタイトルを収録する」と意気込んだ。価格や細かい仕様などは改めて発表するが、セガジェネシスフラッシュバックの技術を応用するとみられている。セガが家庭用ゲーム機を販売するのは17年ぶりだ。
 一方で、松原氏のインタビューではセガファンには悲しい発言も相次いだ。その一つがドリキャス復活の見通しは困難というのだ。
 セガジェネシスフラッシュバックは、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」上で、メガドライブの機能や動作を模倣するソフト「エミュレーター」とメガドライブのゲームソフトを内蔵している。松原氏は、技術的にメガドライブは復刻版を製造しやすいと説明した上で、ドリキャス復刻版の製造販売が困難な理由を次のように明かした。
 「ドリキャスはハード的に専門的なことをやっていた。このため、ドリキャスのエミュレーターは、他のゲーム機エミュレーターに比べると、実際のゲーム動作をうまく再現できていない」
 ただ、ドリキャスのゲームソフトを、他のゲーム機やスマートフォンゲーム向けに高画質な「HDリマスター版」として提供することについては前向きな姿勢を示した。
 一方、セガが海外で「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」などの過去の名作をスマホ向けに無料提供しているサービス「セガ・フォーエバー」については、「広告付き無料ゲームというビジネスモデルは欧米では受け入れられやすいが、日本では様子を見ようと思う」と慎重な見方を示した。日本のスマホゲームは、広告なしで無料でユーザーにダウンロードしてもらった後、ゲーム内で引く「ガチャ」と呼ばれる有料くじで運営側が稼ぐというビジネスモデルが一般的で、広告付き無料ゲームというビジネスモデルは日本市場では受け入れられないだろうという考えのようだ。
 セガは、1990年代に発売した「セガサターン」やドリキャスの時代から、インターネット上でゲーム対戦するサービスを提供し、最近普及しつつある「eスポーツ」を時代に先駆けて提供していた歴史がある。2月に発足したeスポーツの業界団体「日本eスポーツ連合」が認定したeスポーツ用ゲームにもセガのパズルゲーム「ぷよぷよ」が選ばれた。
 しかし、日本のeスポーツで最も主流なジャンルである格闘ゲームについては、セガのゲームは認定されていない。セガは、90年代後半に社会現象を起こした名作の格闘ゲームシリーズ「バーチャファイター」をIPとして所有しているにもかかわらずだ。
 松原氏は「バーチャファイターは新たな続編については残念ながら、すぐにお届けするプランはない」と断言した。
 セガは、昭和58年の家庭用ゲーム市場参入から平成13年の撤退まで、あらゆるジャンルの名作ゲームを提供してきた。松原氏は「若い人には全く新しいゲームとしてセガのファンになってもらえる」と過去の名作に自信を示す。家庭用からゲームセンターまでセガのゲームに夢中になった一人として、懐かしのセガゲームが再びファンを熱狂させてほしいと切に願う。(経済本部 大坪玲央)
 セガゲームス 昭和26年創業。35年に日本娯楽物産として株式会社化し、国産初のジュークボックスの開発を経て、業務用ゲーム機製造やゲームセンター運営を開始。40年、セガ・エンタープライゼスに社名変更。58年に家庭用ゲーム機に進出した。平成12年、セガに社名変更。16年にパチンコ機器大手サミーと経営統合してセガサミーホールディングスを設立、そのグループ会社となった。27年に現社名に変更した。