「ちびまる子ちゃん」にも圧力? 前川喜平氏批判の自民議員に噛みつくメディア

政界徒然草
自民党の赤池誠章参院議員がブログに掲載した映画「ちびまる子ちゃん」のポスター

 自民党文部科学部会長の赤池誠章参院議員(56)が平成27年12月に公開されたアニメ映画「ちびまる子ちゃん イタリアからきた少年」のキャッチコピー「友達に国境はな~い」に噛みついたのは公開直前のこと。そんな2年以上前の出来事を一部のメディアは批判している。組織的な天下りで処分を受けた前川喜平前文科事務次官が名古屋市立中学校で行った授業をめぐり、赤池氏が文科省に問い合わせをしたことを問題視したメディアの悪意が透けてみえる。

 同映画は文科省と東宝がタイアップして制作された。赤池氏は27年12月3日の自身のブログにこう記した。

 「私はこのポスターを見て、思わず仰け反りそうになりました」

 「国際社会とは国家間の国益を巡る戦いの場であり、地球市民、世界市民のコスモポリタンでは通用しないと機会あるごとに言ってきたのに…」

 「国家意識なき教育行政を執行させられたら、日本という国家はなくなってしまいます。文科省の担当課には、猛省を促しました」

 これに対し、左派系のニュースサイトとして知られる「リテラ」は今年3月21日の記事で「赤池議員は今回の前川氏授業圧力問題以前にも、文科省にトンデモとしか言いようのない圧力をかけた事実がある。それは『ちびまる子ちゃん』圧力問題だ」として、こう切り捨てた。

 「はっきり言って異常としか言いようがないが、まったく悪びれるどころか誇ってすらいるところを見るに、赤池議員や自民党は、このような圧力を日常茶飯事で行ってきたらしい」

 揚げ句には「安倍首相自身もこれまで、文科省に対してさんざん圧力を加え、極右教育を押し付けてきた。その結果、文科省は赤池、池田のようなチンピラ議員すら、安倍首相の代弁者ととらえ、違法行為を強制するような無理難題にも唯々諾々と従うようになってしまったのだ」と、赤池氏と自民党文科部会長代理の池田佳隆衆院議員(51)を呼び捨てにして「チンピラ」と断じた。

 朝日新聞出版のニュースサイト「AERA dot.」(アエラドット)も3月22日に「ちびまる子ちゃん」問題を取り上げ、「2年以上前の出来事であるが、前川氏の授業への圧力と通じる姿勢に、ネット上では『戦前か!』『国際感覚が欠如している』などの批判が出ている」と書いた。

 同月23日付の朝日新聞のコラム・天声人語も黙っておらず、「子ども向けの宣伝文句も見過ごすことなく、国家意識の危機をかぎつける。鋭敏な感覚の持ち主なのだろう」と皮肉った。

 これらのメディアが一方的に赤池氏を斬る姿は「問答無用」といわんばかりだ。もっとも赤池氏も負けていない。

 アエラドットからの質問に対し、3月23日のブログで質問と回答を公開した。「子供向けとはいえ、『国境はない』という嘘を教え、誤認させてはいけない。国境は歴然としてあります。国家があってこそ、私たちの平和で安全な暮らしが守られています」などと反論した。

 騒動に東京スポーツも参戦し、「東スポWeb」には「赤池氏の恫喝(どうかつ)グセは日常茶飯事とも…」と指摘した。

 実はこの「ちびまる子ちゃん」問題、オチがあり、赤池氏の抗議を受けても文科省などがキャッチフレーズを変更することはなかった。アエラドットの質問に赤池氏は「私の意見は聞き入れられず、変更されなかったことは、ポスターを見ていただければ分かる通りです」と回答し、無念さをにじませた。

 赤池氏はちびまる子ちゃんファンに対して十分な配慮もしており、「キャッチフレーズについて意見を申し上げたのであって、ちびまる子ちゃんには意見しておりません」とブログに書き込む念の入りようだ。

 天声人語から東スポまでメディアをにぎわしたこの問題。2年前以上の出来事をほじくり返されてしまったが、赤池氏の支持者の中には「知名度が上がった」と喜んでいる人もいるという。「悪名は無名に勝る」ということか…。 (政治部 坂井広志)

 赤池誠章(あかいけ・まさあき)氏 昭和36年、甲府市生まれ。明大政治経済学部卒業後、松下政経塾に入塾。平成17年の衆院選で初当選(比例南関東)。初当選同期の稲田朋美元防衛相らと保守系の議員連盟「伝統と創造の会」を結成した。21年の衆院選で落選したが、25年の参院選比例代表で当選し、政界に復帰。文部科学政務官、参院文科委員長などを務めた。