想定外? 皐月賞で証明 種牡馬オルフェーヴルの実力

スポーツ異聞
2018年の皐月賞を勝ったエポカドーロ(7番)。オルフェーヴル産駒が見直されるきっかけになりそうだ(塩浦孝明撮影)

 競馬のクラシックレース、皐月賞(4月15日、中山)は、7番人気の伏兵・エポカドーロが後続に2馬身をつけて圧勝した。これで、競馬の祭典・日本ダービー(東京優駿、5月27日、東京、2400メートル)で堂々の主役に躍り出たわけだが、俄然、注目されているのが、種牡馬のオルフェーヴルだ。

 ご承知の方も多いだろうが、念のため、おさらいしてみると、オルフェーヴルは、2011年のクラシック三冠馬(史上7頭目)。他にも12年の宝塚記念、11、13年の有馬記念のGIレースを制した。国内だけでなく、世界最高峰のレース・凱旋門賞で12、13年と2年連続で2着になった。“最も世界の頂点に近づいた日本馬”である。

 13年の有馬を最後に現役引退し、種牡馬に。当初は産駒が期待されたが、昨年7月、クリノクーニングが新馬戦でレコードデビューを飾るものの、その後はパッとした成績を残せていなかった。他の種牡馬と比べ、勝ち上がる率が低く、種付け料も当初は600万円だったが、最近では100万円下がったとされる。

 そんな中、彗星のごとく、登場したのがエポカドーロである。オルフェの初年度産駒だが、注目された存在ではなかった。デビューは昨年10月の新馬戦(京都、1800メートル)だったが、3着。3カ月間、放牧に出され、今年1月の未勝利戦(京都、1600メートル)で逃げ切り、初勝利をマークした。2月のあすなろ賞(500万下、小倉、2000メートル)でも勝ち、3月のフジテレビ賞スプリングステークス(GII、中山、1800メートル)で2着に入り、皐月賞の優先出走権を得た。

 もっとも、エポカの陣営もクラシックレースを取る馬になる、と確信していたかというと、半信半疑だったようだ。藤原英昭調教師は「ずっと皐月賞を目標にしていた」と語っているが、ダービーについては明言していなかった。「距離適性を図りかねていた」からだ。東京競馬場の2400メートルを回避し、1600メートルのNHKマイル(5月6日、東京)に参戦するプランも頭の中にあったのだろう。

 短距離系である母方の血統も不安だったかもしれない。母ダイワパッションの父フォーティーナイナーは現役時代で、米国内で活躍した種牡馬で、ケンタッキーダービー2着などの戦績を持つが、ネイティブダンサー系で明らかにマイルから2000メートルを適性とした、どちらかというと短距離を得意とするからだ。

 そんな、母系の距離への不安とともに、オルフェの種牡馬として実力を計りかねていたのかもしれない。実際、これといった実績もないだけに、自信を持つことはできなかったのだろう。

 ところが、皐月賞では、稍重(ややおも)の芝のコンディションの中、逃げる3頭から離れた4番手でピタリと折り合うと、最後の直線の残り100メートルで先頭に立ち、後続を2馬身もちぎってみせた。展開や芝状態など、色んな要素が重なったとはいえ、圧勝だった。想定外ともいえる強いレースに、藤原調教師は「ダービーに向けて頑張っていきたい」と明言した。

 現実にはまだ、GIを1つ勝ったばかり。だが、今回の勝利で、間違いなく、オルフェ産駒が見直されるのではないか。ディープインパクト産駒が席巻する中、同じクラシック三冠馬としてオルフェも実績的には負けてはいない。凱旋賞での成績も、3着入線(後に失格)のディープに勝っている。

 ちなみに、昨年のリーディングサイアーで1位はディープインパクト、2位キングカメハメハ、3位ステイゴールドと続いた。

 近い将来、オルフェーヴルが割って入るか注意深く見守りたい。